アイエフエー 2021年度は4社で売上61億5,000万円目標、独自性の強い商品の開発目指す

アイエフエー 菅波専務
関東圏の業務用中堅食品卸4社(ウルノ商事、コーゲツ、大京食品、野口食品)で構成する(株)アイエフエー(旧(株)国際食品流通同友会・IFA)は2020年に続き2021年度総会を中止した。

前期は関東食品を外して9.8%減60億2,000万円となったが、今期は窪田洋司社長(大京食品会長)が退任し、新社長に野口食品の野口昌孝社長が就任、新商品の投入など様々な施策を行い、4社で2.2%増61億5,000万円を目指す。

〈2020年〉アイエフエー、4社で65億円強の売上目指す、独自開発のタイ産「チキンカツレツ60」発売も

そこで6月9日、東京・神田のアイエフエー本社事務所に出向き、菅波孝人専務に前期実績や今後の方向性についてインタビューした。

――前期の実績から

アイエフエーの取り扱い売上高は前年比9.8%減60億2,000万円となった。これは,アイエフエーの会員だった関東食品が1月末に退会したためで(前々期は1.1%増81億4,498万円)、同社を除いた数字となる。

――今期の目標は

引き続きコロナ禍の影響を受けた形となるが、4社で2.2%増61億5,000万円を目指す。

これは4月〜6月の学校給食休業以降は持ち直しており、また仕出し弁当や事業所給食は激減したが、老健・病院施設等に引き続き拡販するなど4社の力を合わせて頑張ることで実現したい。

――2021年度のスローガンは

2021年度のスローガンは「4社に貢献出来るアイエフエーの確立」。創立時の社名「(株)国際食品流通同友会」を2020年4月1日より「(株)アイエフエー」に変更して、4社で出直した。ウルノ商事、コーゲツ、大京食品、野口食品の各社長と、8人の事業推進委員を中心に一致団結して再スタートする。

――プライベートブランド商品の伸展が気になる

ヒット商品の開発に注力している。すでに発売したプライベートブランド商品の衣率のよい「チキンカツレツ60」は、タイの生産メーカーと取り組み、パン粉比率が12%の商品で、加熱済み自然解凍でも食べられる。業務用としては焼いても食べられる商品として打ち出したもの。

いずれにしても、独自性の強い商品へのこだわりをベースに商品戦略を強化、4社一体となって事業の拡大を目指す。

〈新市場の構築が重要課題に〉
――市場の変化への対応は

コロナ禍により家庭用市場が堅調に伸びている一方、最大手の容器回収弁当業者でコロナ禍による在宅勤務や食堂閉鎖等により大激減した会社もある。

流通業界では、大企業と中小企業が新たなパイを取り合うために相互に参入している状況が続く。こうした市場経済の大変化に柔軟に対応していくためには当然、「市場」「ユーザー」「商品」の見直しを図っていく必要が不可欠となる。

現時点で東京五輪は開催される予定だが、当初考えていたような外国人を含めた入場制限が行われるため、人が動いてこその市場活性化が進まない状況に直面している。

現有市場へのこだわりを捨てるわけにはいかないが、現実的にその市場の大幅回復は見込めないため、新市場の構築が重要課題となっているのが事実だ。

例えば、医療・シルバー施設は全ての業務用卸が競合しているだけに厳しいジャンルとなりつつあるものの、やはり着実に伸びている市場なだけに拡販強化していかざるを得ない。

他に、幼稚園、保育園、量販惣菜、テークアウトなどの市場も掘り起こしを図っている。新市場の構築こそ最大の課題と考え、引き続き独自性のある商品開発により拡販していきたい。とにかく市場自体が未曽有の大打撃を受けているため、2021年は市場回復への求心力の変革がまさに問われている。

――2021年度の課題は

2021度の課題としては、コロナ対策とは別に、
〈1〉何(商品)を何処(市場・ユーザー)に売るのか
〈2〉どうすれば利益を確保することができるか(売上より利益を重視)
〈3〉競合他社に負けない卸として存続するために何をするのか
〈4〉メーカーに必要とされる卸となるためにどうあるべきか
〈5〉どこの国の商品にこだわりを持って開発・拡大していくのか
――などが課題となると考えている。

――今後も4社体制を維持するのか

IFA設立時には、5社を水面下で支えることを使命に目標は5社の売上の10%、当時は40億円を目指したが、2018年度には2倍の80億円に達することができ、25期には100億円達成を目指したがコロナ禍や4社体制になったために大きく後退した。

しかし目標の旗は降ろしていない。以前掲げた「5社の塔」から「4社の塔」になったことで寂しさはあるものの、山椒のように「小粒でもぴりりと辛い」アイエフエーとして、小さな組織会社の4社だが能力や体力に優れ、侮れない会社として発展していきたい。

ただ、弊社に新たな1社を加えることは現段階では現実的にはなっていない。今後は「新生アイエフエー」として4社を縁の下で支え、4社に貢献できる会社の確立を目指す。主要メーカーとの関係も更に強化し、相互のメリットのある運営を確立して行きたい。

〈冷食日報2021年6月11日付〉