ヤヨイサンフーズ 「ゴロッと海老カツ100」「明太子とチーズのドリア」など36品発表、ニーズ対応商品を拡充/2021年秋業務用冷食新商品
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今回は重点施策として〈1〉気仙沼工場における商品の開発〈2〉人手不足に配慮した簡便調理品の投入〈3〉コロナ禍における消費者ニーズに対応した取り組み――の3つを掲げ、それぞれに対応した商品を投入している。商品開発コンセプトは引き続き「価値の創造」「感動と信頼の創出」とした上で、今秋は次の3つの重点施策に取り組んだ。新商品概要について、志田敏満商品開発部長が説明した。
〈1〉気仙沼工場における商品の開発
2020年11月、宮城県気仙沼市で稼働した気仙沼工場は、魚・水産カツ・ソフリ(介護食)の3ラインを備え、2021年春はそれぞれのラインを活用した新商品を一挙39品発売した。同秋は第2弾として、水産カツラインを活用し、学校給食向け・中食市場向けで、ユーザーニーズを反映した商品の拡充を行う。
学校給食向けには、新たに「海のおかず」シリーズとして「気仙沼産カツオカツ45/55(鉄・Ca)」「国産鮭キャベツカツ45/55(鉄・Ca)」「海老カツ45/55(鉄・Ca)」と3アイテム計6品を投入。学校給食で求められるニーズに対応し、アレルゲン・栄養素に配慮し、卵・乳成分原材料不使用、不足しがちな鉄・カルシウムを添加した。また、低学年〜高学年まで対応しやすいよう、2規格を揃えた。
中食向けには、2021年春も海老カツ3品を発売していたが、主菜にもなる大判タイプの「ゴロッと海老カツ100」を追加。コーティング処理と海老60%使用により海老のゴロゴロ感を実現、生地の厚みも従来品の約15ミリから約22ミリと大幅アップさせ、食べ応えとおいしさを追求した。また、長方形に近い形状と厚みにより、サンドイッチでより見栄えがよくなるようこだわった。
〈2〉人手不足に配慮した簡便調理品の投入
調理現場での人手不足はユーザー・消費者でも続いており、ヤヨイサンフーズでは近年、手間削減に繋がる自然解凍対応商品、電子レンジ調理対応商品、焼き調理対応フライ商品など簡便調理商品を投入し対応してきた。
2021年秋は産業給食市場をメインターゲットに、蒸し調理対応で大量調理可能な焼き済み餃子「焼かずにできる!焼き餃子 19/26」を2規格で投入。新規配合技術と工程の改良で調理後に時間が経ってもやわらかな皮、三元豚の旨味と10ミリカットの国産キャベツの使用でジューシーかつ具材感のある生地を実現した。
開発背景に、一般的な焼き調理用の餃子は、品質が良いが、調理に手間・スキルが必要で、揚げ調理では調理簡便性はあるが、焼き餃子との品質差がある。一方、調理簡便性が高く大量調理にも適している「焼き済み餃子」は、焼き調理の餃子と同等の品質を実現することが課題で、今回は品質の良い「焼き済み餃子」の開発を目指したという。
また、事業所給食・外食での提供時、注文を受けてから早く提供するため、事前に調理を行い、調理後時間が経ってから喫食するケースが多いため、皮が乾燥して固くなる、中生地の味・食感が低下するという課題があった。これらに対応するため、開発コンセプトとして蒸し調理対応による大量調理適正、経時変化に強い皮・中生地の品質、焼き色の良いアピアランスの3つを目指したという。
〈3〉コロナ禍における消費者ニーズに対応した取り組み
コロナ禍以降、外出自粛・巣ごもり生活による内食の増加で、消費者ニーズが変化。手作り機会の増加による「目新しさ」のニーズ増、買いだめ・通販利用増、運動不足による健康志向の高まりといった変化が起きている。こうしたニーズの変化を意識し、簡便調理、買い置き需要の高まりに配慮して「Deli Grande(デリグランデ)」グラタン・ドリアシリーズをリニューアルするとともに、キャッシュアンドキャリー(C&C)、通販宅配向け「イートベジ」を拡充する。
〈C&C・通販宅配向強化、デリグランデ刷新と写真入り包装イートベジ追加〉
2002年に発売し、発売20周年が迫る「Deli Grande」は量販店惣菜売場向けのFC(フローズンチルド)タイプ、C&C・通販宅配向けのF(冷凍)タイプともに、トッピングチーズをブラッシュアップするとともに、ドリアライスを改良するリニューアルを実施。
トッピングチーズは、味・香りのゴーダ、チェダーと食感のモザレラの3種類を使用するうち、モザレラチーズをアメリカ産からデンマーク産に変更。加熱調理後の伸びの良さ、食感を高めた。
ドリアライスは食感と味を見直し、よりドリアに合うよう、ふっくらした米の食感向上と、塩こうじ等による味(甘み)の向上を図った。
これらリニューアルに加え、明太子ソースに博多明太子を使用した新商品「明太子とチーズのドリア」を投入する。
ヤヨイサンフーズ「明太子とチーズのドリア」
これらリニューアルに加え、明太子ソースに博多明太子を使用した新商品「明太子とチーズのドリア」を投入する。
メニュー展開はFC・Fタイプそれぞれで、グラタンが▽海老とチーズのグラタン▽7種チーズのグラタン▽ポテト&ベーコンのグラタン――の3アイテム、ドリアが▽海老とチーズのドリア▽紅ずわいがにのドリア▽明太子とチーズのドリア――の3アイテム、計6アイテム・12品での展開となる。
「イートベジ」シリーズは「野菜を中心とした植物性食材を食べよう」をコンセプトに、2019年7月から展開する「大豆ミート」を使用した健康志向シリーズ。中食・事業所給食市場を中心に現在、全13アイテムを展開している。
うち、写真入りパッケージ入のC&C・通販宅配向けはドリア2品を展開しているが、2021年の秋は新たに「イートベジ レンジでかんたん焼き餃子(大豆ミート入り)17」(5個85g)、「イートベジ もちっと水餃子(大豆ミート入り)15」(50個750g)の2品を追加し、アイテムを強化する。
ヤヨイサンフーズ「イートベジ レンジでかんたん焼き餃子(大豆ミート入り)17」「イートベジ もちっと水餃子(大豆ミート入り)15」
「レンジでかんたん焼き餃子」は袋ごと電子レンジ調理可能な簡便調理の焼き済み餃子。大豆ミートとキャベツ、たまねぎ、にらを加え、野菜の甘みを活かした中生地を、レンジ調理でもやわらかく仕上がる皮で包んだ。
「もちっと水餃子」は、大豆ミートとキャベツ、たまねぎ、にらを豆腐と合わせ、もちっとした食感の皮で包んだ。電子レンジ、煮る、蒸す調理に対応。
〈4〜5月売上は16%増で2019年並回復、収益黒字化〉
発表会の冒頭、あいさつした大西宏昭社長は、足元の業績概況にも触れた。4〜5月の売上高は前年比116%と前年の苦戦を取り戻し、ほぼ予算通りで一昨年の2019年並を回復したという。収益面でも予算を上回り、既に黒字回復したという。カテゴリー別では気仙沼工場の煮魚・焼き魚の売上が前年比141%と特に順調に推移しているそうだ。市場別では、外食は依然厳しいものの、中食・給食向けでは2019年を上回っている。大西社長は「出足よくスタートし、年間予算達成に向けて引き続き各施策に取り組む」と話した。
ヤヨイサンフーズ 大西社長
〈冷食日報2021年7月1日付〉