ニチレイフーズ「冷凍食品は次なる価値を提供するフェーズに」、“おうち時間の充実化”“健康的価値”を付加/2021年秋季家庭用冷食開発コンセプト
〈2021年秋の新商品詳細〉ニチレイフーズ「今日は家飲み」シリーズでおつまみ特化、チキン「むねから」は健康感とおいしさを両立/2021年秋季家庭用新商品
2021年秋の開発コンセプトとして、“おうち時間の充実化”と“健康的価値へのアプローチ”を掲げた。
ニチレイフーズ 宮川事業部長
今後一定の定着が予想されるテレワークや家庭内飲食頻度の底上げに対して、冷食の既存価値(美味しさ・簡便性・保存性・値ごろ感)をさらに追求して“おうち時間の充実化”につなげる。また健康意識が高まり、定着したことに対して、冷食の新たな価値として“健康的価値へのアプローチ”を強化する。冷食に今後、付加していく価値として「健康、環境、共感、多様化対応」を挙げ、「これからの社会に求められる価値を付加することで、冷食市場はさらに拡大できる」と話した。
従前からの家庭用事業のテーマである「力強いカテゴリー政策の推進」と「新規需要創造への挑戦」に、当季の開発コンセプトである“おうち時間の充実化”と“健康的価値へのアプローチ”を掛け合わせて、当季の提案を行う。
「力強いカテゴリー政策の推進」としてはチキン・米飯・冷凍野菜と、ニチレイフーズの戦略カテゴリーから提案する。
チキンでは鶏むね肉を使用した「むねから」を新発売する。むね肉は健康イメージが強い。またニチレイフーズの調査によれば、唐揚げのもも派とむね派は概ね6対4と、むね唐揚げのニーズが相当数ある一方で、冷凍唐揚げの売上構成比としてむねは1割に満たない。ニーズと市場の間に大きいギャップがある。「ニーズを満たす商品が存在していない」として、冷凍むね唐揚げに伸長余地を見込む。
「むねから」は東日本限定発売となる。生産国のタイで新型コロナ影響による入国制限のため労働力不足が続いていること、また世界的にコンテナ不足・輸送遅延傾向があることから、既存品を優先するためとしている。
冷凍米飯はコロナ禍において自炊行動への回帰がみられる中にあっても、好調に推移した。「生活者は自炊行動と冷凍米飯の活用を上手にミックスしている」と分析した。
新商品として8月に「にんにく炒飯」を先行発売する。人との接触機会が減少したことから、臭いを気にせずにニンニク料理を楽しむ行動が増えていることに着目した。さらに2021年秋は「牛すき焼めし」と「まぁるい釜めし鶏五目」の2品を発売。季節感のあるメニューをそろえた。後者はワンハンドで在宅ワークにも適している。
冷凍野菜の方向性について、宮川事業部長は「単一素材からミックス野菜、冷凍調味料、そしてミールキットまで、生活者それぞれに合わせた形態をそろえることで、広く家庭での料理を手助けする」とした。2021年秋は2020年度に最も市場が伸びたミックス野菜に、新商品として「ベーコンほうれん草」を発売する。新規開拓中のカテゴリーである冷凍調味料として「味付きオクラ&やまいも」も新発売する。
ニチレイフーズ「味付きオクラ&やまいも」
「新規需要創造への挑戦」としては、家飲みおかず・冷凍調味料・大豆ミートをラインアップした。
「家飲みおかず」としては皿の役割を果たし洗い物の手間が省ける、個食のトップシールトレイ商品「今日は家飲み」シリーズを発売する。ニチレイフーズとして、おつまみに特化した商品ははじめて。
「今日は家飲み」は手作りすると手間がかかるメニューを4品そろえ、家飲み料理のマンネリを解消し、家飲みを充実させる。
ニチレイフーズ「今日は家飲み」シリーズ(ガーリックシュリンプ、梅しそささみ焼き)
「大豆ミート」ではDAIZ社と共同開発した原料を使用した第2弾商品として「大豆ミートのからあげ」を発売。もも肉の唐揚げに比べて、コレステロール95%オフという健康感も訴求できる。
「冷凍調味料」は冷凍ならではの具材感が特長で、身近な料理に少量加えるだけでアレンジできる新カテゴリーだ。2020年に「ピリ辛肉そぼろ」を発売した。第2弾として2021年秋、健康的なねばねば野菜を摂れる商品として「味付きオクラ&やまいも」を発売する。豆腐、そば、納豆などと相性がよく、そのままでも食べられる。
そのほか、油ちょうおかずとして「パリッと皮の春巻」を発売。油ちょうおかずは2020年春から新商品の投入を始め、これでシリーズ全4品となる。シリーズによる売り場展開も狙う。家族がそろう食事で、油ちょう品は一度に大量調理ができることから、市場が拡大している。
お弁当商品も新商品を2品そろえた。「モッツァレラチーズとトマトの包み揚げ」「ソースハムカツ」の2品。学校や職場に持参するお弁当にも、在宅勤務で食卓の1品としても、おつまみとしても利用できる商品を目指した。前者はお酒とともに、後者は食卓のもう1品としての利用を想定する。
〈鍋つゆ市場、使い切りレトルトで参入〉
常温レトルト商品として、使い切りの鍋つゆを発売する。鍋つゆはニチレイフーズにとって初挑戦となる。
家族と食卓を囲む機会が増え、鍋料理市場が好調だが、少人数世帯では一見便利な小分け型の鍋つゆの素も複数回使用しなければならない。使い切りの鍋つゆは市場に商品が少ないことから、参入余地があると判断した。「ごま豆乳鍋つゆ」「キムチ鍋つゆ」の2品。内容量は各1〜2人前100g。
〈プラ削減、2021年秋は年間約30トン〉
持続可能な社会への取り組みも進める。同社では包材に使用するプラ原料の削減やバイオマスインキの使用に取り組んでいる。2021年秋の取り組みでは年間約30トンのプラスチック削減を見込む。
〈冷食日報2021年7月15日付〉