ニップン 冷食は堅調に推移、オーマイプレミアム「イカスミといか」好調/奥能理士冷食営業部長インタビュー
ニップン 奥部長
――2020年の冷食事業について
2020年は冷食需要が大きく伸びた。コロナ禍という特殊な状況で変動が激しい年だった。比較が難しいところがあるが、自社の状況については、大きく売り上げも伸びたものの、2020年6月頃までオーダーが集中した。3月末には在庫薄のような状況で、4月1日から商品によっては休売や、出荷制限、銘柄制限などの対応を行わざるを得なかった。
6月には需要が落ち着いたものの、在庫の回復に時間かかり、9月から再開したのが大枠な流れだ。下期は休売品が復活、パスタは出荷制限していたが、落ち着き始めた。
なお、2021年4~6月については、家庭用は前年同期比1桁増だった。カテゴリーによっては2桁増のものもあり、一概に比較できないが、プレートシリーズや個食米飯は増えた。パスタについては、2021年は横ばいだった。前年良かった「オーマイBig」の需要が落ち着いた影響とみている。引き続き販売を強化したい。
――2019年同期と比較しての推移は
コロナ前と比較すると2桁増となっている。2桁の中でもかなり大幅な伸びだ。売上のボリュームが大きいパスタに加えて、他のカテゴリーも伸びており予想以上だった。
業務用は、回復傾向にはあるもののコロナ以前の水準にはまだ届いていない。一方、業務用も冷食には着目しており、素材品などを供給してほしいという話は広がっている。
――2020年に好調だった商品は
伸びたのは、パイシートだ。家庭での手作り需要により上期から増え、例年の需要期にあたる下期もさらに伸長するほど順調だった。
パスタで好調だった商品群は「オーマイBig」で、次が「オーマイプレミアム」だ。2020年の推移は2桁の伸びを見せた。
「よくばりプレート」シリーズも上期は休売していたが、下期から販売を復活させて2桁増となった。2020年12月から稼働の伊勢崎工場によって供給体制が整い、より一層導入が進んだ。独自の商品としてしっかりと確立していく。
スーパーやコンビニなどは改装するたびに冷凍食品売り場のスペースは広がっている。ドラッグストアは惣菜を置いていないところが多く、冷凍食品関係で差別化するところが増えている。また、トレー入りの商品も注目を集め始めている。今後も競合との差別化になるようトレー入りを打ち出していく。
業務用は前年から1割ほど落ち込み、厳しい状況にある。今も同様の状況が続いている。
――春の新商品の動向は
オーマイプレミアムは2品とも順調で、「イカスミといか」は特に良かった。外食の機会が減っているため、家では作りにくいメニューの需要が高まったのでは、と考えている。「よくばりプレート」は全部好調だった。
「いまどきごはん」シリーズも、商品数を拡充してシリーズで並べられるようになり、既存品も伸びた。「国産小麦100%ホットケーキ」も、想定以上の出荷で推移している。
――組織改編については
4月からこれまでニップン冷食で行っていた製造をニップンとして行う形となった。また、冷凍食品事業本部を新設した。組織改編の大きな理由として、冷食市場の変化のスピードが速くなっていることが挙げられる。それに対応すべく、意思決定の迅速化や、経営資源投入のスピードアップを図るために取り組んだ。冷食事業への投資案件についてスピーディに対応でき、将来の基盤づくりなどを進められると思う。
目標は高く設定しており、具体的な時期は言えないが、将来的には少なくとも今の倍が目標だ。業務用は読みにくいところもあるので、まずは家庭用で倍増に近い水準を目指そうと思う。会社全体の経営としても、冷凍食品には期待している。
――下期の見込みは
2020年の需要増の反動はあると思うが、上期のほうがその反動は大きいと捉えており、下期はプラスアルファを目指せると思う。市場全体でも伸びる余地はある、活性化できるよう良い商品を投入し、市場を盛り上げたい。
ニップンの冷凍食品の利用の多くは昼食などで、夕食での存在感はまだ薄い。しかし、品質の高さ、簡便性等の特長をうまくアピールできれば選択肢の中に入ってくると思う。世帯構成も少人数家庭の増加などの変化もあり、需要は出てくるのでは。価格の安さよりも、味の良さにシフトできれば準高価格帯の商品でも引き合いは増えると思う。
〈冷食日報2021年7月29日付〉