冷食の配荷率トップは味の素冷凍食品「ザ★ハンバーグ」、全体の配荷点数は低調に/2021年秋の新商品・冷食日報店頭調査

味の素冷凍食品「ザ★ハンバーグ」
冷食日報編集部は、10月中旬から11月中旬にかけて、主要スーパーの首都圏25店舗・関西圏10店舗の計35店舗で、家庭用冷凍食品の今秋新商品について店頭取扱状況(配荷率)を調査した。

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2021年秋に発売された主要メーカー20社159品(リニューアル品除く・一部期中発売品・地域限定品含む)を対象とした。その結果、今秋新商品の配荷率1位は味の素冷凍食品「ザ★ハンバーグ」だった。一方で、今秋は新商品数が比較的多かった割に全体の配荷点数は低調だったと言えそうだ。(※調査は店頭目視のため、在庫切れなどによる調査漏れの可能性がある)

〈全体の配荷点数は低調か〉
今秋新商品の店頭配荷状況を見ると、調査対象159品の総配荷点数は688点と、コロナ禍の影響で新商品数が極端に少なかった前年秋の359点からは倍増近く増えたものの、2021年春の625点に続き近年では低水準となった。

新商品数自体は開発・製造面でコロナ禍の影響を受けて減少した2020年の秋以降、今春に続いて今秋も、近年の中で比較的多い159品だったが、その割に配荷点数は伸びていない。

近年の配荷点数推移

近年の配荷点数推移

 
コロナ禍以降、スーパーの側でも棚替えを積極的に行わないところ増えているという話を聞く。冷食に限らず食品業界ではコロナ禍以降の動きとして、定番品への集中傾向が見られる。商談がリモートで進められることも多い中で、新しい商品の導入が進め難い環境にあるとも言えよう。
 
それに加え、店舗の側では人手不足や密・接触を避ける意味でも、頻繁な品出しが必要な少量多品種の売場を作りづらくなっているという話も聞く。2020年以降の冷食市場の拡大を受けて、メーカー各社は市場を盛り上げ、新しいユーザーを繋ぎ止めるためにも積極的・意欲的な商品投入を行っているところだが、それが売場に並ばない状況になるとすれば、今後の商品開発・投入方針にも影響を与えかねない状況だろう。
 
〈配荷率上位には「おかず」や麺類・米飯が多数〉
配荷率30%を超えた商品は15品で、2020年秋の6品から大きく回復したものの、2019年秋の22品、2020年春の21品、2021年春の19品と比べても少なかった。
 
中身を見ると、配荷率上位は軒並み内食需要の高まりに対応した調理品の「おかず」や、テレワーク等巣ごもりの昼食シーンでの利用が想定される麺類、米飯が多く、コロナ禍以降の市場トレンドを反映している。
 
そうした中、商品別の配荷点数トップは味の素冷凍食品「ザ★ハンバーグ」で、調査対象35店舗における配荷率は74.3%と高水準だった。同品は、高品位なガッツリ仕様が人気の「ザ★」シリーズで、チャーハン・シュウマイ・から揚げに続く商品として注目度が高く、定番メニューの注目商品として期待通りの配荷が進んだ。

2021年秋発売の家庭用冷凍食品店頭取扱上位品(調査対象:首都圏・関西圏のスーパー35店舗)

2021年秋発売の家庭用冷凍食品店頭取扱上位品(調査対象:首都圏・関西圏のスーパー35店舗)

 
次いで同率2位には日清食品冷凍が新たに立ち上げた新シリーズ【日清本麺】2品が配荷率71.4%で並んだ。足元の冷食市場拡大の中でも、ラーメン類は特に伸長率が高いカテゴリーで、そこに「麺」にこだわった冷凍麺という新たな価値を提案する商品。まったくの新シリーズ商品として、ここまで配荷率が高いのは同品への高い期待の表れだろう。
 
4位にも同じく日清食品冷凍の「日清中華辣椒担々麺」が配荷率68.6%で入った。もともと高い人気を誇る商品を、電子レンジで温めた後にお湯を注ぐだけの簡単調理にリニューアルして新商品として発売したもので、安定した配荷を記録した。同シリーズの「白胡麻担々麺」も8位に入っている。
 
5位にはニチレイフーズの「牛すき焼めし」が入り配荷率は51.4%。2019年秋に新発売されたものの、主力品に集中して生産する方針から生産中止としていた商品を、消費者の声に応え復活させた商品で、安定の配荷となった。
 
〈冷食日報2021年11月26日付〉