ニチレイフーズ 20周年「本格炒め炒飯」大幅伸長、随時商品投入し変化に対応/執行役員家庭用事業部長・宮川浩幸氏インタビュー
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ニチレイフーズ 宮川部長
――当上期の概況について
上期の家庭用冷食市場は約4%増とコロナ禍における急激な需要増となった前年に対しても順調に成長を続けている。当社の家庭用事業は市場を上回る伸びとなった。
巣ごもり需要の継続もあり、米飯や食卓のおかず類が売上げを牽引した。
米飯では「本格炒め炒飯」が2桁(約13%)伸びた。発売20周年としてプロモーションと売場展開を連動させることができた成果だ。8月には「最大の冷凍炒飯ブランド」として2020年の最新年間売上を基に「ギネス世界記録」に認定されたことを受けて夏場の展開もしっかりできた。
「えびピラフ」「焼おにぎり10個入」も好調だった。秋の新商品に先行して7月に発売した「にんにく炒飯」も売上げに貢献した。新常態への対応として1人前の容量にした商品だ。
おかず類では主力の「特から」の売上げをしっかり伸ばせた。また「極上ヒレかつ」も5月にテレビCMを投下し、売場での回転、配荷を増やすことができた。
今川焼を展開するスナック類はこの1〜2年需要が高止まりしている。当上期も2桁増と好調。お弁当商材も前年を上回った。
利益面では世界的な原材料価格の高騰を受け、自助努力だけではコスト吸収の限度を超える状況となった。そのため、11月1日納品分から一部商品の価格改定を行った。背景は概ねご理解いただいている。実現に向けて丁寧に説明していくことが必要だ。
――下期の見通しについて
下期はマーケット自体、上期ほどは伸びないと見ている。上期も19年度比で見ると120%以上と高い伸び率にあり、これ以上の追い風は吹かないだろう。またコロナ感染拡大の鎮静化で、少なからずリベンジ消費があると考えている。
もっともリベンジ消費について足元の感触としては思ったほど影響は大きくない。テレワークが一定数継続し、外食も様子見の人が多く、家で食事する習慣が続いている。
コロナを契機とした、新たなお客様、新しい生活様式のもとで引き続き利用していただいているお客様に対して、どのような価値を届けていくかがポイントだ。
秋の新商品で立ち上げたトップシールトレイの「今日は家飲み」シリーズはこれまでSM向けにはあまりなかった、おつまみに特化した提案だ。
大型店など売場展開しやすい店舗に配荷されており想定した回転を見せている。今後、売場の中で新しいカテゴリーになるよう育成していく。
家庭で揚げ調理が復活してきていることから、シリーズ展開を始めた油ちょうシリーズも、コンセプトを受け入れてもらっている。
生活様式の変化に対応した商品を適切なタイミングで投入していく方針から、11月1日に新商品を3品投入した。
そのうち「てりマヨチキン」はコロナ影響でタイ産のチキン類が売場からなくなる懸念があることから、チキンの国内製品として提案した。また家族で食べてもらえる商品として「こだわりのふっくら厚焼玉子」を、需要が伸びている今川焼には「キャラメルマキアート」味を発売した。
――タイチキンの見通しについて
流通在庫が一定量あると思われるが、安定供給に努めている「特から」も必ずしも潤沢ではない。休売した「たれづけ唐揚げ」はすでに売場に影響が出始めている.「むねから」は今秋、東日本限定で発売したが、やはりタイの供給力不足から休売している。ただGFPTニチレイ(タイの合弁会社)は比較的回復が早く、「むねから」は12月1日に販売を再開する。コロナ禍で健康意識が高まっている中、この商品もしっかり販売していきたい。
タイのコロナ感染拡大はピークアウトして改善傾向にあるが、感染が都市部から徐々に工場があるような郊外に広がっている。その動きは注視する必要がある。
――山形と長崎の設備投資について
「パーソナルユース需要」に対応した冷凍食品の生産ラインを導入する。山形工場では、あらゆる業態に対応した個食タイプの商品を生産していく計画だ。
長崎工場には今川焼類のラインを増設する。これまで今川焼はグループのキューレイで生産してきたが、需要の増加に対応する必要があった。生産能力は約3割向上する。
〈冷食日報2021年11月29日付〉