コスト大幅上昇、適正な価格転嫁が不可欠=冷食協・伊藤会長

<日本冷凍食品協会・伊藤雅俊会長の年頭所感>冷凍食品を取り巻く状況をみると、穀物等の国際価格は昨年後半から大幅に下落してきましたが当面、それ以前の高値圏での輸入が続くことに加え、円安が進行していることから、原料コストの上昇が続いています。さらに電力・燃油等のエネルギー、各種資材、物流などのコストのほか、賃金単価も上昇し、食品製造企業のコストは大幅に上昇しています。

一方、小売業態の過当競争が依然として続いており、また業務用分野でも需要が伸び悩む中で、納入価格引下げの強い圧力が生じていますが、食品産業の健全な発展のためには、コストに見合った適正な価格転嫁が不可欠です。

冷凍食品の需要については4年連続で増加していますが、昨年は経済状況等を反映して伸びが鈍化したものとみられます。当協会としては、冷凍食品の優れた特性を啓発するため、冷凍食品を消費者ニーズの変化に柔軟に対応できる「未来の食品」として位置づけ、26年度から新たに「ココロにおいしい、冷凍食品」をスローガンとして広報事業を展開してきました。今年も、需要拡大が期待されるシニアや男性に重点を置いて、広報事業の拡充に努めます。

冷凍食品認定制度については、その適切な運用に努め、品質管理担当者の資質向上のための講習を一層充実させていきます。また、一昨年末に明らかになった冷凍食品への農薬混入事件を契機に、食品防御の在り方が問われています。当協会では、食品防御ガイドラインの考え方を会員に周知してきましたが、今年度内に食品防御ガイドラインを策定し、会員の指針とする考えです。

そのほか制度的課題についてですが、エネルギー源の多くを電力に依存する冷凍食品業界では電力料金の継続的な引上げは産業基盤の弱体化につながるものであり、料金の安定化が不可欠です。さらに、食品表示やリサイクル制度の見直しが行われていますが、国際基準との整合性に留意するとともに、食品企業に過大な負担が生じないことが重要です。

このほかにも様々な課題がありますが、当協会が積極的に対応することで、より活力ある冷凍食品業界の実現に向けて全力を尽くす所存です。