4月から値上げ加速、7月には第3波の可能性も

冷凍食品や即席麺、アイス、食用油、豆乳などが1月から3月までに値上げされたが、4月からは国内加工用乳価の値上げに伴い、牛乳・乳製品が一斉に値上げされる他、食用油は今年2回目の値上げ、さらにケチャップ、味噌、コーヒー、チルド麺、ウイスキーなどの一部も値上げされる。一部は国際価格の上昇によるが、円安による輸入原料価格の上昇が主な要因。さらに4月からの政府売り渡し麦価の値上げにより、小麦粉2次製品の値上げも待ったなしに迫っている。

政府の円安誘導政策は自動車などの輸出型産業には効果的だったが、輸入原料に多くを頼る食品産業にとっては、燃料・包材等も含めて極めて厳しいコストアップ要因となる。このため、企業努力が限界になったとして昨秋から様々な分野で値上げがされており、その実施が年明けから本格化した。

本紙で報道された分野に限っても、1月には即席麺、食用油(ごま油含む)など、そして2月以降も家庭用・業務用冷食、アイスクリーム、豆乳、カレー類、ソース、缶スープなどが続々と値上げされた。昨年夏にチョコレートが値上げされたが、これはカカオ豆の国際価格の高騰が大きい。今回もカレーやコーヒー、ごま油はこうした原料の国際価格上昇も要因となるが、やはり大きいのは円安による原料価格の上昇だ。ちなみに日銀の輸入物価指数は1月速報で143・3(食料品・飼料、2010年=100)と高止まったままだ。

一方、4月からはさらに値上げが加速される。まず乳製品。ホクレン及び関東生乳販連と乳業大手3社による4月からの加工用乳価が値上げで合意したことで、牛乳、ヨーグルト、チーズ、バターなど国産乳の乳製品は一斉に5%程度の値上げとなる。

食用油は1月に次いで今年2回目の値上げを4月に行う。円安に加え、菜種の国際価格と国内の物流費の高騰が大手製油メーカーの決断につながった。ケチャップ、コーヒー、チルド麺(そば等)、味噌及び豆乳なども円安と主原料の高騰が重なったのが大きい。

その一方で、缶スープや輸入ウイスキーは円安が直接、仕入れ価格に影響するための値上げ。むしろここまでよく粘ったという感がある。

食品の値上げが4月で一段落かというとそうでもない。7月には第3波がやってくる可能性がある。本紙既報のように政府売り渡し麦価が4月から5銘柄平均で3%値上げされる。4月から製粉会社に値上げされた小麦が入るが、備蓄在庫(2・3カ月分)が切れる6月中旬から小麦粉2次メーカーへの搬入価格が値上げとなる。

今回は物流費、電力、包装資材なども高騰していることから麦価値上げを上回る値上げとなると見込まれる。しかも、銘柄ごとに大きな差があり、パン向けのソフト系は5・4%アップ、特にWW(ウエスタン・ホワイト)は主産地(米国3州)の天候不順で日本の実需者(パンメーカーなど)が求める品質には遠く、平均を上回る上げ幅になった。 このため、7月以降にはパンをはじめとした小麦粉2次製品の値上げの可能性が高い。

食品のデフレが収まっていない中で、我慢を重ねてきたメーカーがようやく値上げに踏み切ったというのが実態。しかし、プライスリーダーのいない豆腐や納豆、値上げによる消費減退が予想される醤油など静観している業種は少なくない。やはり、実質賃金の上昇が伴わない限り、デフレ脱却は難しいのか。