【北陸特集①】カナカン荒木章社長、今年のテーマは“価値創造・価値向上”

卸業界では大手卸による再編が進む中、カナカン(金沢市)は北陸エリアで圧倒的な存在感を示す、“地域卸の雄”である。今年はテーマに「価値創造・価値向上」を掲げて、商品・機能・企業の価値を提案することに取り組んでいく。旭食品(高知)、丸大堀内(青森)とともに発足して丸2年を迎えるトモシアホールディングス(東京都港区)は人事交流も深まっており、直近では旭食品に新たに人材を派遣したという。北陸新幹線の開業によって注目が高まっている北陸の地。荒木章社長にインタビューした。

–北陸新幹線が開通します。地元の期待は

北陸新幹線の開業によって、北陸は我々が予想する以上に注目度がアップすると思う。現在も北陸商材の引き合いは増えているが、地元のメーカーは大規模ではないところが多く、原材料や製造能力などに限界が出てくることで迷惑をかけないか懸念している。また、観光客も増えるが、一気に多忙になると受け入れ体制のキャパシティがオーバーすることで、心配り・サービスが十分に行き届かず、かえって心象を悪くするのではないかと心配している。地域卸として、できる限りの支援をしていきたいと考えている。

–北陸の特性について

北陸はどちらかというと控えめな人が多い。オーバーアクションでアピールすることに慣れていない人が多い。自己主張することが美徳とならない文化がある。元々、宗教心に篤いエリアである。日々の暮らしぶりに関しても、「謙虚に生きよう」、「感謝の念を持て」という教育を受けているエリアである。

–今期(3月期)の着地見込みについて

昨年3月末の仮需の実績が大きいので、売上高の目標達成は困難だ。経営利益は若干改善しているが、それ以上に経費増で食われてしまっている。人件費や物流費、原材料費などの高騰が影響している。もう一つはメーカー値上げの問題がある。値上げをメーカー、卸、小売がきっちりと隅々まで浸透させることが、食品流通業全体の緊近の課題となる。

–今年のテーマは

今年のテーマとして「価値創造・価値向上」を掲げている。我々は価格志向に走り過ぎたことを反省しなければならない。商品の価値、機能の価値、企業の価値を提案することの努力を怠っていた。新たな価値を発見し、その価値をさらにアップさせることも大事だ。それがまた新しい価値を作り出す源になる。

–金沢支店の再編や統合効果について

統合効果は今後さらに出てくると思っている。事務所の統合も行った。金沢支店を中心に、食品金沢営業所は1課と2課に分け、酒類金沢営業所と食料課とともに同じ事務所棟に統合した。気持ちを一緒にして、情報と機能の共有を図る。

–トモシアHDとの連携について

トモシアHDが発足して丸2年になる。少しずつだが人事交流が深まっており、お互いに助け合う効果も出てきている。4月1日に旭食品が酒類企業のM&Aを行うため、新たに酒類の専門家1人を派遣した。今後も必要に応じて更なる人事交流を深めてゆく。

–全文は本紙にてお読みいただけます。