国交省、トラック運送事業者の長時間労働抑制に取り組み
日本加工食品卸協会(日食協)関東支部が17日、開催した支部総会終了後、国土交通省自動車局貨物課の益本宇一郎企画調整官が、「トラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドライン改正の概要」について講演した。
益本氏によれば、トラックドライバー数は、03年以降概ね180万人超で推移しており、減少しているわけではないものの、物量の増加等から不足しているほか、全産業と比較して若手就業者の割合が低く、中長期的に年齢構成の歪みが顕著になる懸念もあるという。
そうした中、人材確保のための労働条件改善の意図もあって、今年2月に『トラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドライン』を改正し、新たに「手待ち時間の改善」の項目を追加した。手待ち時間は配達、集荷、配送センターでの到着から荷役開始までの待ち時間のことで、これを改善することがサプライチェーン全体の最適化を進める上で大変重要だという。また、直接トラック運送業者と契約するわけではない「着荷主」等で1時間以上の手待ち時間が発生するケースが多く、着荷主等においても手待ち時間を調査、実態を把握するとともに、手待ち時間が存在する施設、時間帯、状況等を特定し、分析することが望ましいとした。
また、4月3日に閣議決定された労働基準法改正案では、いわゆるホワイトカラー・エグゼンプション等「多様で柔軟な働き方の実現」が世間では注目されているが、長時間労働抑制策として、中小企業において現在猶予措置が講じられている月60時間超の時間外労働に対する割増賃金(50%増以上)の猶予措置を廃止(平成31年4月から適用)することとしている。
トラック運送事業においては、総労働時間が長いという実態が見られるが、荷主都合による手待ち時間など、トラック運送事業者の努力のみで改善することが困難であるという要因が背景にある。このため、学識経験者、荷主、事業者、行政(国土交通省・厚生労働省)などにより構成される協議会を中央および各都道府県に設置し、実態調査・パイロット事業(実証実験)・長時間労働改善ガイドライン策定等を行うことにより、平成30年度中までに関係者が一体となって長時間労働の抑制とその定着を図るとした。
なお、日食協では実態を把握し分析するための資料として「入荷受付記録簿(日食協標準様式)」を作成し、同協会ウェブサイトの資料室で提供している。