キンレイ15年3月期業績は13%増収で売上高88億円 量販・業務用が大幅増
キンレイの15年3月期業績は、売上高が前年比13%増88億円(うち冷食86億円)と増収、営業利益も増益で計画を若干上回ったが、営業外で今年1月の商品回収事故で3億円弱の費用がかかったこともあり、経常減益となった。また、近いうちに西日本地区で新工場を建設し、生産能力を1.5倍以上に引き上げる。25日、東京・池袋の東京本部で記者会見した和田博行社長が明らかにした。
15年3月期売上高の業態別では、売上の半分近い42億円を占めるCVsが8%増、15億円ほどの量販店が28%増、生協が8%増、構成比15%ほどの業務用が25%増とした。和田社長は好調の要因について「差別化しづらい玉めんではなく、出汁・麺・具材が一体となった“料理”として作るメーカーの希少性が理解された」「業務用は大口ユーザーの仕事を受けたことと、具付き麺の好調で伸長した」「昨年“なべやき屋キンレイ”ブランドを打ち出したことで、社内的に“冬にしか売れない”という意識から、我々とは何か、1本の信念をけれん味なく持つことができたこともプラスに働いた」など説明した。
和田社長は今期(16年3月期)の売上計画は前年並とし、方針として①経営力の進化②販売力の進化③生産力の進化④開発力の進化⑤品質へのこだわり–の5つを掲げた。
売上については「残念ながら目指す品質の物づくりが将来できなくなった取引先があり、3億円強の売上を失うこととなり昨年並の計画とした。ただ、4~6月は10%増ほどできており、上振れる可能性もある」とした。
方針について①では課題が速やかに上にあがるようPDCAのサイクルのスピードをアップ。②では「オンリーワンメーカーと言いながら独りよがりな面もあり、それが回収事故の遠因になったかもしれない。真摯に反省し、これまで支えてくれた流通、ユーザーのご意見をいただくためにも営業・販売を強化し、一緒に作り上げたい」とした。③では昨年FSSC22000の認証を取得したが、4カ月後に回収事故があり、原点に帰り生産プロセスを再構築する。④では、従来の事業推進部と商品開発部を統合して「開発部」とし、マーケティング部門と開発部門のコミュニケーション向上を図り、開発スピードを上げる。⑤では従来から取り組んでいた安心安全意識を再徹底する。
今後の投資については、西日本地域で新工場建設の計画立案に着手したという。現在、泉北工場(大阪府高石市)が毎時5,000食、筑波工場(茨城県阿見町)が毎時20,000食の製造能力を持つが、稼働率の高さが回収事故の遠因にもなったとし、新工場の建築により現在の1.5倍~2倍近い製造能力とし、余裕を持った製造により、現在以上の安全・安心に繋げる構えだ。
また、販促では昨年に引き続き11月23日の“キンレイ感謝の日”に合わせ、キャンペーンの賞品となる非売品の究極の鍋焼うどん“THE鍋焼うどん”を100個限定で製造する。社会・文化貢献活動として実施している大学の落語研究会とのコラボ企画「心染プロジェクト」では、参加大学数を6大学から10大学に拡大し、自治会、小学校、高齢者施設などでの落語会を引き続き開催する。
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