15年度冷食市場は順調

15年度の冷食市場は、業務用は引き続き中食市場の活況などを受けて堅調に推移しているものと見られる。家庭用も、商品値上げがあったものの、昨年4月は消費増税後の落ち込みが予想以上にあり、そのウラに当たることもあって前年を上回っている模様だ。ただ、小売の販売形態でEDLP化が進む中、“全体としては全品半額”に代わる販促がまだ浸透しきっておらず、もう一段の成長を遂げるには、さらなる売場の活性化が必要となってきそうだ。

2014年1~12月の冷凍食品国内生産量は前年比0.9%減153万6,392tと5年ぶりに前年を下回った。生産金額は工場出荷額ベースで0.2%減6,759億9,000万円で、4年ぶりに前年を下回った。家庭用が数量ベースで3.7%減、金額ベースで1.1%減と、中国・天洋食品事件直後の09年以来5年ぶりのマイナス。一昨年の農薬混入事件や、小売の販売変更の変更なども影響した。一方、業務用は数量で1.1%増、金額で0.5%増と回復基調が続いた。さらに、円安や原料資材高騰、人件費上昇などあり、収益面でも減益となる企業も多かった。

今期のスタートとなる4月、前年の消費増税による落ち込みがあったことから、その反動で伸長。各社の動向を見ても、4~6月は順調な立ち上がりとなった模様だ。2~3月にかけて製品値上げが相次いだことから、収益面でも改善方向に進むと見られる。

冷食の国内生産量の指標として、日本冷凍食品協会による認定品数量の推移(グラフ参照)を見ると、市販用は昨年4月に大きく落ち込んだウラで大幅伸長となっているのが目につく。一方、業務用は軟調にも見えるが、昨年1~2月は駆け込みを見越してか6%以上伸びており、均して見れば悪いとまでは言えない状況だ。川下の状況を見ると、中食市場は引き続き堅調に推移、外食市場もハンバーガー業態の不振に引きずられている感はあるが、総じて見れば悪くなく、見通しは暗くない。さらには、外食・中食サイドでは人手不足から、調理負担の軽減が求められており、冷食が活躍する余地はさらに拡がっていると言える。

ただ、懸念要因として、家庭用においては小売店の販売形態変更が、引き続き需要に影響を及ぼしている点が挙げられる。一昨年4月の消費者庁の価格表示指導から販売手法をハイ&ローの一律割引販売からEDLPに改める企業が多く、それが冷食売上を引き下げる方向にも働いている。黙っていても売れる“一律5割引”という大きなマグネットを失う中で、製配販3層とも魅力的な売場作り、MD手法の必要性を挙げるが、まだ全体として見ればそれが消費者に伝わっているとは言いがたい状況にある。

そうした中、メーカーサイドでは棚活性化のための“夏の新商品”の投入、健康志向の高まりに対応した機能性表示食品をはじめとする健康志向商品、消費の二極化に対応した高付加価値商品、さらなる簡便性を追求した商品など、ニーズに対応した商品の投入、取り組みがなされている。これらの利点をいかに消費者に伝えられるか、売場活性化の取り組みが急務となっている。