ナックスナカムラ、4~6月17%増収と出足好調

ナックスナカムラは今期4~6月を売上高17%増と好調に滑り出した。スーパー向け惣菜分野が牽引している。市販用冷食ではナックスの留め型商品を開発し、冷食売場で新市場開拓への挑戦も始めた。本紙ら専門紙誌の取材に応じ、前田一郎社長が事業概況と今期の計画を明らかにした。

同社の14年度(2015年3月期)実績は売上高が981億円で前期比3.5%増、経常利益は10億900万円で4.1%増となった。売上高経常利益率は1.03%と1%以上を維持。注力している物流受託事業の売上げは1,140億円で4.5%増となった。

前田社長は前期を総括して「売上目標を1,000億円としていたが、若干届かなかった。昨年4月に消費増税によって市況が落ち込み、天候不順による影響もあった。売上高経常利益率は0.01%上昇し目標の1%以上を達成できた。スーパー向け惣菜の売上拡大効果や物流を含めた経費削減、得意先や仕入先メーカーの協力の賜物だ」と述べた。

14年度売上高をカテゴリー別に見ると、市販冷凍食品が前年並み、アイスクリームが5.2%増、共同購入(生協)が0.4%増、業務用はスーパー惣菜4.1%増、ベーカリー33%増で業務用トータル3.5%増となった。

市販冷食は消費増税後の第1四半期は特に4月の落ち込みが大きかったことから苦戦したが、第2四半期以降は改善傾向となり、前期並みの着地となった。

「(小売店の販促手法として)ハイ&ローからEDLPへの変更によって、売上げが減少した得意先もある。売場検証含め活性化のための強化策を実施している」という。

新たな取り組みはNB商品がカバーしきれていない分野の商品開発だ。社内に商品開発会議を設けて商品化が進んでいる。

ナックスの留め型として、ワインに合うおかずや紙包み型の北海道産の野菜を使ったおかずなどの夕食惣菜、デコポンやピオーネなど高級果実のスキンパック商品、フルーツをふんだんに使ったアイスバー–などを今年に入って次々と発売している。

「EDLPとなり、毎日集客することが必要となった。どのように売り場をつくるか。リーチインケースとなり棚の見え方にも課題があるなか、まずは商品から手を付けたところだ。商品本位の提案をしていき、付加価値を認めてもらうことを考えたい」とする。

昨年から取り組みを強めているアイスは今期も「強化カテゴリーの一つ」と位置付ける。冬場にも売れる商品分野となっていることも背景にある。「新規の帳合を増やしていく」方針だ。

主力のスーパー惣菜部門は、小売店の人手不足への対応を主眼として、インストア加工とアウトパックの総合的な取り組みが成果をあげた。

インストア加工では店舗の在庫管理の負担軽減や調理の簡素化につながる商品のキット化、単品についても調理時間を大幅に短縮する商品の開発などに取り組んだ。従来スチコンで20分かかった調理時間を5分に短縮した炒飯などを留め型で展開準備している。

小売店における発注作業を短縮するために、メニュー単位で発注できる仕組みも早期に導入する計画だ。

人手不足から品ぞろえのためにアウトパック商品の需要も高まっていることから、同社では加工業者を新規開拓しアウトパック商品の提案にも注力した。インとアウトのトータル提案が売上拡大につながった形だ。

組織面では前期、業務用統括部と市販用統括部を発足した。商品・メニューの提案と店舗支援の強化を主導する体制が整い、特にスーパー惣菜分野では「各営業拠点で〝密着提案型〟営業が成果をあげた」。

人材の育成・強化も進んでおり、「セカンドフェーズとして更なる取り組み拡大を図る」とした。

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