存在感増すCVSの冷凍食品、品揃えが大きく拡大 デイリーメーカーを活用した新たな動きも
CVSの冷凍食品が存在感を増している。従来、CVSは常温、チルドのデリカと、カウンター回りの惣菜(こちらは元は冷凍食品であることが多い)が中心であった。「CVSの冷食売場はアルミ鍋の鍋焼きうどんと氷があればよい売場だった」(大手メーカー)とも言われていたが、このところ、PBを中心に冷凍食品の扱いが大幅に増えている。
たとえば、ファミリーマートのPB「ファミリーマートコレクション」(ファミコレ)の場合、14年2月末で26アイテムの品揃えだったが、15年10月上旬の時点で本紙が調べたところ、39アイテム(氷、アイス除く・以下同)を揃えていた。
さらに積極的なのがセブン-イレブンで、本紙調べで今年の4月時点で44アイテムだったところ、10月はPB「セブンプレミアム」が地域限定など含めたトータルで55品、「セブンゴールド」も1品あり、計56品がラインアップされている。さらに同社は、10月下旬に麺類や小籠包、11月下旬に酢豚や豚の角煮などの発売を予定しており、ラインナップをさらに充実させるものと見られる。
また、ローソンもPB「ローソンセレクト」で冷食38アイテムをラインアップする一方、店頭ではキンレイの「鍋焼うどん」「ちゃんぽん」をはじめとするNB商品も比較的見られるのが特長だ。「PBありきではなく、お客様にとって選べる売場を作ることが重要だと考える」(同社広報)という。同社によれば「SMの代替機能、お客様の生活支援。CVSの特性上、手軽さや簡便性、個食ニーズ対応も重視」して商品開発を実施しているという。
大手NBメーカーにとって、ブランドは価値の源泉の1つとなる命とも言えるもので、PBを積極的に展開したくはないという声はしばしば聞かれる。一方で「これまで家庭用冷食の主戦場はSMだったが、SMに来店し、冷食売場に立ち寄る層は限られていた。CVSは単身世帯の男女、高齢者等、これまで冷食になじみの少なかった層に冷食を手に取ってもらい、ユーザー層を広がるきっかけにもなっている」(メーカー幹部)と肯定的な声も聞かれるようになっている。
そして、CVSの冷食で新たな動きが見られる。セブン-イレブン・ジャパンは、9月24日に開催した報道向けの商品政策説明会で、冷凍食品においても、デリカテッセンのさらなる強化を図るとし、今後、NBメーカーでは実現しづらい領域のメニューを、デイリーメーカーのインフラを活用して商品化する方針だとした。「(デイリーメーカーの)専用工場のラインは、複雑で手間のかかる調理工程を得意とし、より“お惣菜”に近いものを作れる。チルドで展開してきたノウハウを冷凍食品とするよう、製造開発を強化する」(鎌田靖取締役常務執行役員)とした。
今下期においては「セブンプレミアム 酢豚」(フジフーズ製造)、「同 釜炊きあさり御飯」(わらべや日洋製造)を10月に投入。「専用工場を活用し、ニーズに沿って弁当のおかずではなく、今日の夜、食事で出せるものの拡充を考える」(同)という。今後の新たな動きとして注目されるところだろう。
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