「冷食が男性の“家事進出”に貢献」=冷食協伊藤会長

日本冷凍食品協会の伊藤雅俊会長(味の素会長)は本紙など11社が加盟する冷凍食品記者クラブの求めに応じて7日、都内で年末記者会見を開いた。今年の冷食市場は家庭用では値上げや小売りのEDLP化の影響で販売数量ベースで前年を割り込む見込みだが、EDLP化には肯定的な考えを示した。また今後の広報について、女性の社会進出に対して、冷食が男性の“家事進出”に貢献できる点を訴求したい点も示唆した。

伊藤会長は今年を振り返り次のように述べた。「今年に入り徐々に新しい税や価格体系が浸透し始めた。選択的消費は厳しいが、その中でもより質の高いものへの消費指向、高い雇用率、働く女性の増加、さらに2,000万人に迫るインバウンドもあり、底堅い消費となって表れているのではないか。

成長が必ずしも多く期待できない国内では、技術力や品質力を高めて変わり続ける客に対応してゆき、量的には海外で成長するという仕組みを冷凍食品産業でも作っていきたい。

冷食市場は今年、家庭用は農薬混入問題や消費税の影響が一巡したものの、円安による値上げ、小売のEDLPへの移行があり、販売金額では増加するものの、数量ベースでは減少する見込みだ。

ただ米飯類は大幅に増加した。技術開発により品質を高め、広告などコミュニケーションを活発化した結果だ。技術を競い合い品質を高めて新しいお客様を作りだすことで、市場を作っていくという典型的な見本だ。

業務用は底堅い需要で若干%成長できるだろう。いずれにしても質の良い商品に向かうことが重要だ。

海外展開では大きな変化が見られる。今までは日本市場向けの生産が主だったが、進出国の内販や第三国向けの輸出が増え、またM&Aもさらに進んでいる。

TPPでは重要5品目では調達面であまり変化はないだろうが、企業によっては中長期的に良い面が出てくるだろう。冷食の取り扱いが多い中国、タイ、台湾などの未加盟国が加盟すれば、冷食業界にとって輸出入アクセスが改善されることになる。

当協会の広報活動としては“冷凍食品の日”を中心に、シニアや男性をターゲットに啓蒙を続け、手ごたえも感じている。

一方、人口1億人を維持しなければ国の形が変わってしまう懸念がある。女性の社会進出に対し、男性の“家事進出”が必要だ。冷食はメニューの幅も広く、男性の家事参加に最適の食材。冷食業界でも女性の社会進出を応援しようということで、男性の家事進出の貢献できるという点も重要ではないか」

伊藤会長は小売りのEDLP化について「あまりにも安い価格だと困る」としながらも、「中長期的には良い形だと思う」とした。特売時のまとめ買いに頼るのではなく、安定的に販売できる実力を高めること、それとともにマーケットを引っ張る商品が必要だと指摘した。

これまではパスタを中心とした麺類が、今年は炒飯が、それぞれ牽引役となったが、今後も「これまでの延長でない商品、同じ商品でも新技術や新しい切り口」を示すことが必要だとした。

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