「業務用の市販化で家庭用冷食の品ぞろえ強化」-極洋多田社長
極洋の多田久樹社長は15日、同本社(東京都港区)で年末記者会見を開いた。その中で3つの基本戦略(グローバル戦略・シナジー戦略・差別化戦略)の進捗や塩釜新工場(宮城)の竣工について説明した。
3つの戦略のうちグローバル戦略については、5月に新設した米・ロサンゼルス事務所について触れ「現地の日系問屋とタイアップして営業活動している。カツオタタキ、チリ銀鮭フィーレ、ホッケ開きなど品質の良さに関心を持たれている」と述べ、「おいしくて良いものを持っていけば評価される」と今後の展開に自信をのぞかせた。
海外売上高の伸び率は前年6.8%から今期7.6%となり、全体の伸び率6%と比べても伸長している。中国向けは減少しているが、欧州向けが約4倍増、タイが40%増となった。昨年、ウィーンとバンコクに新設した拠点が機能している。
シナジー戦略では「鰹・鮪を含めた水産事業と食品事業との融合を更に推進して、5セグメント間のシナジーを効率的に発揮すべく最適化を進めている」とした。寿司種生食商品や簡便調理の「だんどり上手」で、水産商事の調達と冷食の加工販売との融合を進めている。寿司種生食商品は売上目標に対して昨年同期を上回る進捗で「目標達成は確実」、「だんどり上手」シリーズも金額ベースで前年比2倍の売上げになっているとした。
来年は指宿(鹿児島)にカツオタタキの工場を稼働させる。本格稼働は来年4月となる見通しで、当初1,000tの生産を目指す。「当社グループ船わかば丸からの原料を使用しシナジーを発揮させる」。カツオタタキの供給はこれまでの焼津(静岡)中心から、新工場によって西日本を増強する。
差別化戦略については、昨年参入した家庭用冷食事業を取り上げた。「導入店舗は3,500店を超えた。各店の導入アイテムも増加しており、広がりを実感している」とした。冷食売場では新カテゴリーとなる焼魚を中心に展開し「今期目標である売上高10億円も視野に入った」。3年後に売上高30億円を目指すが、当面は首都圏を中心とした展開を見込む。
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