【2022年秋の業務用冷食新商品】好調な中食・シニア市場へ注力、外食の回復に向けた提案も
2021年秋は市場の回復を見込んで一定数の新商品を投入したメーカーが多かったが、コロナ禍が長引いたために新商品の導入は進まなかった。そのことも影響したのか、今期に入って業務用市場は着実に回復しているにもかかわらず、今秋の業務用の新商品数は前年を下回った。
中身を見ると、好調な中食市場に向けた提案とともに、市場の回復が見込まれる一方で人手不足の課題が一層強まる外食業態への提案が目立った。需要が高まっている、病院・高齢者施設向けの提案に引きつづき注力しているのも大きな流れだ。一方で原料価格やエネルギー費の上昇を受け、各社値上げを実施しているが、新商品では高品位や健康など付加価値提案が一つの回答となっている。
一昨年の2020年秋はコロナによって市場動向が見通せないとして、メーカーの中には打ち出し型の発表を見送ったり、新商品の発売を延期したりする企業が見られたが、翌2021年はワクチン接種の拡大による社会経済活動の再開を見込んで各社とも新商品を一定数そろえた(13社で121品)。その期待に反してコロナ影響が長引き迎えたのが2022年秋だ。
外食市場がレストラン・居酒屋を中心に苦戦が続くなか、中食市場は2021年来、コロナ禍以前を大幅に上回って推移している。これは外食の代替需要を取り込んだものと見られている。今秋の新商品も中食市場へのアプローチが大きな軸となっている。当季最多の新商品18品を発売した、ヤヨイサンフーズはトップシェアをもつメンチカツの品質向上に取り組み、中食市場に売り込む。
2番目に多い新商品17品を発売した、ニチレイフーズは高品位な「炭火焼二段仕込みの鶏つくね75」などを発売。マルハニチロは強みである水産調理品に注力し惣菜向けに提案している。
外食向けに力を入れる動きも目立った。ニチレイフーズは「外食応援」を掲げ、専門店品質のチーズインハンバーグを提案。味の素冷凍食品とテーブルマークはホテルビュッフェの回復を見込んでケーキ類を拡充した。日本水産は外食のテイクアウト・デリバリーやキャッシュ&キャリーでの販売を想定した新商品に引き続き注力している。
施設・病院向けにはテーブルマークが健康訴求のうどんなどを新提案している。
〈冷食日報2022年9月26日付〉