フードデリバリー「menu」“街づくりmenu”開始、デリバリーと店舗の相互利用を促進
フードデリバリーを手掛けるmenu(東京都新宿区)が、街全体の持続的な活性化を目指すプロジェクト「街づくりmenu」に取り組んでいる。
人口減少や少子高齢化により、来街者や売上の減少といった課題を抱えている地方の商店街と手を組み、デリバリーと店舗の両方から新たな需要を生み出すという施策だ。飲食店の売上増や、新たな雇用の創出などにつなげていくという。大阪市内での実施を皮切りに、今後は全国で実施したいとの考えだ。menuのコミュニケーション本部部長の大泉共弘氏は「街を盛り上げたいと前向きに考えている方たちと一緒になってより広げ、盛り上げることができれば」と話す。
フードデリバリー市場の伸長は依然として続いており、同社の注文件数も「市場に比例して伸長している」という。また、「auスマートパスプレミアム」加入者は「menu」のデリバリーを何度でも配達料無料で利用できる点も支持され、着実に利用は広がっているようだ。
中小企業庁が実施した「令和3年度商店街実態調査」によると、68.8%の店舗で商店街への来街者数が減ったと回答している。さらに新型コロナウイルス感染症まん延による影響も大きく、調査では8割を超える商店街で、売上高や来街者数に影響が出たとの結果が出ており、地域産業に大きな影響を与えている。
フードデリバリーはコロナ禍に伸長し、徐々に生活に浸透し始めている。menuでは店舗との共栄を図るべく、様々な理由で商店街から足が遠のいている地域住民のニーズを、デリバリーの導入で新たにつかみ、デリバリーとリアル店舗の両方で販路拡大を目指すと同時に、加盟店舗の売上増加を通じて商店街全体の活性化を目指す「街づくりmenu」を新たに開始した。
この取り組みは、まずは2022年10月に大阪市内でスタートした。なぜ大阪でスタートしたのか。大泉氏は「大阪は東京に次ぐ重要な拠点となっており、そこでさらに提案を強めたいという思いもあった」と話す。また、「我々だけでなく、飲食店やイベント主催者、利用される方まで、誰にとっても良い取り組みにしたいとも思っていた。」という。
街の活性化を目指して活動する団体である「Sotowa」と手を組み、このほど実施された「第5回ワンコインマルシェ」でさまざまな取り組みを行った。
まずは「ワンコインマルシェ」の開催前に、約80店がmenuに新規で加入し、基本的な利用方法などを説明してサービスを開始した。イベントでは、ワンコインマルシェ用のテイクアウト商品を販売したほか、購入者には次回以降menuで使える「Sotowa×menu ワンコインマルシェ限定500円クーポンカード」を配布した。その後、対象店舗のデリバリーを利用した人にはイートインクーポンを渡し、店内利用の促進を図った。
大泉氏は「11月のクーポンの利用状況などはまだ検証している段階だが、肌感として悪くないと聞いている」という。今後も継続的な実施を、「Sotowa」と共に目指すようだ。さらに、今回のデータを元に市町村へ助成金を申請し、より継続的な実施も目指すという。
大泉氏は「今後は大阪だけでなく他の地域でもこの取り組みは強めたい。社内でも非常に前向きな声が強く、しっかりと取り組みを進めていければ」と語った。
〈冷食日報2022年12月13日付〉