ぐるなび「ぐるすぐり」多彩な冷凍食品を展開、販路拡大や独自商品の発掘も
有名店監修のミールキットや冷凍商品、地方の銘品などを販売するECサイト「ぐるすぐり」を展開するぐるなび。飲食店のサポートも行いながら、商品を着実に充実させている。今後の取り組みなどを担当者に聞いた。
――冷凍食品の市場の推移をどう見ているか。
日本冷凍食品協会が発表した2021年の「冷凍食品の生産・消費について(速報)」によると、冷凍食品の市場は、国内生産量と工場出荷額は過去最大規模となっており、2022年も共働き・単身・高齢世帯の増加に伴い、冷凍食品の需要は堅調に伸び、市場も拡大していると考えている。
また、コロナ禍の影響を受けた飲食店などでも急速冷凍機の導入が進み、冷凍食品のすそ野がさらに拡大しているため、消費者にとってはさまざまな味わいの広がりを楽しんでいただくことが可能となった。そのまま食べられる「惣菜」から簡易調理で楽しめる「ミールキット」まで、用途やシーンで選ぶことができ、種類も豊富になったことで、より生活にあった選択が可能になっている。
――2017年4月からECサイト「ぐるすぐり」に取り組んでいる。現在の動向などは。
飲食店支援事業の拡大を目的に、ぐるなびのもつネットワークにより厳選された商品情報を一元管理できるシステム「ぐるなびEC」の基盤を2017年4月より構築し、EC 事業の強化を図ってきた。これを活用することで、「ぐるすぐり」の出店者は、簡易に情報を登録できるので、商品を販売することを可能にしている。また、「ぐるなびEC」を通じて飲食店支援事業の拡大はもちろん、ユーザーに対しても、シェフや高級店をはじめとするレストランの味や、現役秘書がセレクトした逸品などを提供している。
――2022年1月から「ぐるなび Premium MealKit(プレミアムミールキット)」を販売している。発売の経緯と動向は。
プレミアムミールキットの企画立ち上げは2020年6月頃。その後、事業設計や企画設計を進め、20年12月から21年4月にかけてナベノイムズと、ルカンケ、太月の3店と商品開発を進めた。そして同年4~6月に商品を発売した。その後、サービス改善や商品の拡充を進め、とんかつ成蔵監修のトンカツや、・金色不如帰監修のラーメンなどに加え、ハンバーガーや麻婆豆腐、スパイスカレーといった商品も拡充している。今年1月には柳家監修の猪鍋を発売した。
――多種多様な冷凍商品が登場している。どう感じているか。
冷凍商品のバリエーションが広がり、消費者の選択は広がっている。大型施設を持たない飲食店でも、コロナ禍をきっかけに補助金などを活用して、小型化された急速冷凍機を導入するなどの環境が整ったことで、これまでにない飲食店ならではの冷凍商品が登場している。
「ぐるすぐり」でも冷凍商品に限らず、飲食店が手がける商品を消費者に届けられるよう、コンサルティングを通して経営をサポートしている。また、サイト上では、そうした飲食店ならではの特徴ある商品を中心にそろえ、確かな商品を届けられるよう商品を選定している。
――現在力を入れている取り組みは。
行列の絶えない人気店の味を自宅で味わえるよう、オリジナルのミールキット開発や、飲食店ならではの冷凍商品の開発をサポートすることで、他社との差別化を進めたいと考えている。
――今後の展開は。
ミールキット販売では、WEBサイトでの販売に加え、百貨店などと連携し、企画商品として販路を拡大していく。
また、地方公共団体が三大都市圏に所在する民間企業などの社員を一定期間受け入れ、そのノウハウや知見を生かしながら地域独自の魅力や価値の向上などにつながる業務に従事してもらう、地域活性化起業人という制度を活用し、社員が発掘した商品をサイトで販売する。ぐるなび社員の派遣自治体は13自治体14人(23年2月1日時点)だ。
そのほか、地方の食材を扱う物産展などの企画にも参加し、直接商品を販売するなどの施策にも取り組んでいる。
〈冷食日報2023年4月6日付〉