日本食生活総研「アンサンブル」、冷凍パスタやリゾットなどECサイト・自販機で販売、アルデンテなどにこだわり開発、“値ごろと高級”で訴求へ

パスタやリゾットなどの冷凍商品群「アンサンブル」(前名称はグルメストック24)の展開を強めている日本食生活総研(川崎市中原区)。
大使館などでのケータリング採用実績を持つ、関連会社のアポルテフードファクトリー(川崎市中原区)の製造経験などを活かし、冷凍商品の展開を強めている。冷凍自販機や百貨店催事などでも販売しており、今後は値ごろな商品と付加価値商品による訴求も計画する。
関連会社のアポルテフードファクトリーは、ケータリングや給食事業などを手掛けており、大使館や川崎フロンターレなどからの採用実績を持つ。しかし、新型コロナウイルスのまん延で、ホテルなどは休業を余儀なくされ、ケータリングの需要は大きく落ち込んだ。一時は厳しい状況だったようだが、アポルテフードファクトリーの二階堂徹社長は従業員を守るため、冷凍食品の販売を進めるよう指示したという。
別会社で販売などを手掛ける日本食生活総研の新事業開発本部長の窪田みゆき氏は「冷凍商品の開発は以前から検討していたが、こうした状況もあり開発を本格化させることになった」と振り返る。まずは子育て世代向けに、栄養バランスを考えた冷凍商品を提案したところ、商品は着実に広がったようだ。今は「アンサンブル」と、幼児食のブランド「ルーチェ」を展開している。
現在提案を強めてる「アンサンブル」は、シェフの作る料理のような味を家庭で楽しめる商品群として提案している。メニューはレストランをベンチマークに、1品当たり「半年ほどかけて行っている」(窪田氏)と語る。また、毎月1品は新商品を投入し、飽きさせないようにしている。
扱うのは、ボロネーゼやカルボナーラといった定番商品に加え、うにクリームのパスタやカニの旨みを感じられるトマトクリームパスタ、ポルチーニリゾットなどの味も展開しており、すべてレンジ調理で喫食できる。

窪田氏は「食べたときにアルデンテの食感になるよう調整し、具材を豊富に入れたことで、見た目も良い商品に仕上げている」と自信を見せる。
販売は、ECサイトに加えて、川崎市内の6カ所に設置した自販機で扱っているほか、2024年1月末まで東急百貨店の二子玉川店でも販売している。いずれも直営だ。価格は800円から1000円ほどで、日によっては500円で販売していることもある。500円で販売したところ、「生産が追い付かないほどの売れ行きだった」という。
さらに、冷凍庫とレンジを貸し出し、福利厚生としての提案も行っている。冷凍食品市場は手軽さなどを背景に伸長を続けている。窪田氏は「今後も、手軽さに加えて、企業の人手不足や食品ロス削減といった部分でも伸長すると考えている」と明かす。また、「地方と都会では収入なども異なる。そのため、値ごろな商品と付加価値商品の2つが重要になるのでは」と話す。
そこで、今後は値ごろな価格と付加価値商品の展開を目指す。窪田氏は「自販機の場合、多くの商品は1000円以上。500円台はまだブルーオーシャンで、ニーズもあるのでは」と予想する。同時に、具材を増やした800円台の商品や、高級食材などを使った1000円台の商品も展開し、幅広いニーズへの対応を図る。また、自販機の設置も増やしたいという。
窪田氏は「今後はスーパーや商社、カフェへの卸販売に加え、ホテルのルームサービスとしての採用も目指している。製造拠点もより広げられれば」と語った。
〈冷食日報2023年4月14日付〉