無人販売店「餃子の雪松」運営YES、冷凍ラーメンを販売、手軽かつ値ごろに本格的な味わい、販売場所の拡大で認知向上へ
冷凍餃子の無人販売店「餃子の雪松」を手掛ける株式会社YES(東京都国分寺市)は、冷凍ラーメン「日本ラーメン科学研究所」の展開を進めている。
様々なラーメン店の味を研究した商品で、鍋一つで本格的なラーメンを楽しめる。「醤油の黄金比」「魚介だし醤油の黄金比」「豚骨の黄金比」「味噌の黄金比」の4種を展開しており、価格は3食入りで各1000円(税込)。販売場所は、2022年11月のオープンから2023年7月末までに432カ所まで広げており、年内には1000カ所まで拡げるという。
〈「スープで麺をゆでる」という調理〉
「日本ラーメン科学研究所」は2022年11月から展開を進めている冷凍ラーメンのブランドだ。調理は独特で、冷凍スープに水を360ml加えて沸騰させ、そこに麺を入れて完成させる。誰でも簡単に調理できるうえ、その味わいは本格的で、着実に販売を広げつつある。
ラーメンに詳しい研究者が開発に携わり、現在までに4種類のラーメンを展開しているほか、チャーシューとタマゴ、メンマ、海苔のセット(3食分、1000円)などのトッピングも販売している。
販売は、「餃子の雪松」の店舗に加え、様々な場所に冷凍自販機を設置して展開も進めており、イオンディライトと連携してイオンモールで設置を進めているほか、紳士服店の駐車場に加え、駅構内でも販売を予定している。
多くのメーカーが冷凍ラーメンを販売する中で、どのような点で優位性があるのか。YESの高野内謙伍マーケティング部長は「1食330円ほどで、店舗で食べるよりも安い。ただ安いだけでなく、原材料にはこだわっていて、醤油ラーメンならば他の商品よりもより濃厚な醤油や鶏油の味わいを感じられるよう仕上げた。トッピングセットに至っては、本当に原価ギリギリぐらいのボリューム」と話す。
〈「餃子の雪松」の経験も反映〉
「餃子の雪松」で展開している冷凍餃子は、群馬県水上にある食事処で人気の味を再現している。3代目の店主からレシピを引き継ぎ、2019年7月に無人店舗で冷凍餃子の販売をスタートした。約3年で店舗は400カ所以上に出店してきた。味の評価も高く、「冷凍とは思えない」などの声があったという。その際に生産体制や配送網などの構築も行っており、今回の冷凍ラーメンでもこのインフラが生かされているという。
また、「餃子の雪松」とは違う販売チャネルへの挑戦も今回の商品で取り組みたかったことだったという。ECや自販機など、より広範囲での展開を強めている。
〈1年経たずに400カ所以上で販売 年内には1000カ所目指す〉
これだけ急激に店舗を増やし、店舗同士で売上を奪い合うことにならないのだろうか。高野内さんに聞くと「そこは覚悟の上。こうした商品で大事なのは、1口食べてもらうこと。そのためには、まずは一気に広げることで認知を高めて、興味を持ってもらいたかった」と話す。
販売は順調に推移しており、最も売れた場所で「最大風速は、大手企業が出した新商品1店舗分ぐらい」と話す。また、「『こんな人数しか住んでないのに売れるの?』という場所にも出しているが、予想に反して好調だったりと、非常に面白い動き方をしている」ようだ。地域によっても売れている商品は異なり、地場で支持されている味が必ずしも一番売れるわけではなかったという。
今後は年内に販売場所を1000カ所まで拡大することを目指しているほか、新たな取り組みも検討しているという。さらに、餃子やラーメンに次ぐ新商品の開発にも着手している。
高野内さんは「課題も出てきてはいるが、『餃子の雪松』を展開する中で得た経験などを活かしながら着実に広げて行きたい」と語った。
〈冷食日報2023年8月25日付〉