イオンリテール、冷食専門店が好調、通常の店舗との棲みわけも品ぞろえはさらに拡充へ

冷凍食品専門店「@FROZEN(アットフローズン)」
冷凍食品専門店「@FROZEN(アットフローズン)」

イオンリテールの冷凍食品は値上げによる影響を受けながらも、売上は2ケタ伸長で推移しているという。

中でも、冷凍食品専門店「@FROZEN(アットフローズン)」は新たな提案により、通常の店舗よりも客単価は高水準になったようだ。今後は商品の更なる拡充などを進めて、より魅力的な売り場づくりなどに取り組む。食品本部デイリーフーズ商品部長の青木郁雄氏に聞いた。

イオンリテール食品本部デイリーフーズ商品部長・青木郁雄氏
イオンリテール食品本部デイリーフーズ商品部長・青木郁雄氏

――2023年に入っての販売動向は。

ここ3年は順調だったが、値上げの影響で今年は少しブレーキがかかったように感じる。売上は2桁伸長を維持する一方、数量は前年同期とほぼ同等で着地できた。当社は比較的好調だったと感じる。

――順調な商品群は。

今までの動向では、冷凍野菜が飛びぬけて良く、次いで惣菜、スナックが好調で、弁当はマイナスという動き方だった。ここ半年に限ると、どれも二ケタ伸長で、中でも売り場を縮小してきた弁当が伸びている。節約志向の高まりを受けて弁当類は伸長したと考えている。米飯類はまずまずで、パスタやグラタンなどが良かった。他にも、間食として使いやすいお好み焼きやたこ焼きも良く、スイーツは品ぞろえを強化しているおかげもあり順調だった。

――2022年8月にオープンした「アットフローズン」。店舗も拡大を進めている。通常の店舗との違いは。

どこの店にでも置いてある商品は売れず、他には置いていない商品が非常に良い。自分が気に入った商品を探して買う、という購買行動になっている。特に、ディナー関連のものや、スイーツは順調で、アッパーな価格帯でも支持されている。こうした商品は今後も強化する。

また、新浦安の店舗では商品の入れ替えも進めている。開店から1年が過ぎ、売り場の鮮度感を保つために全体の2割ほどを変更している。また、新店を2023年11月と、2024年2月にもオープンを予定しており、そこで導入する新商品も探していく。ディナーに最適な商品や、スイーツをより強化できればと思う。

――通常の店舗での取り組みは。

「アットフローズン」で売れたものを無理に既存店では売らず、それぞれ見極めて判断していく。すでに導入した商品としては、どれも決して高価なものではない。各地の名産の餃子や、韓国料理、寿司などを導入し、中でも寿司は支持された。いなり寿司やちらし寿司が好評だった。

会社としても冷凍食品の売場は広げており、そこに新たな商品などの導入を進めている。中でも、おつまみなどに使える惣菜類は優先して拡大できればと思う。他にも、韓国料理や、全国各地の餃子、寿司、スイーツなど、これまで導入できていなかった商品も増やしていく。「アットフローズン」での経験も生かして取り組みを進めたい。

――プライベートブランド(PB)「トップバリュ」の動向は。

「トップバリュ」ブランドで、価格の据え置きを宣言させていただいてから非常に好調だった。節約志向が影響しているのでは。カテゴリー別ではナンバーワンが冷凍食品で、既存の商品から「トップバリュ」に切り替える方もいた。冷凍餃子などでこうした動向が見られた。また、「トップバリュ グリーンアイ」も、商品数が増えるなどして高い伸び率となっている。「ベストプライス」についても順調で、利便性の高い商品などを充実させたい。

また、PBで冷凍の新商品も準備を進めている。まだ弱いおかず類や、種類の少ない麺類、おやつ類などはしっかりと取り組んでいく。

――今後の取り組みは。

「アットフローズン」は首都圏でしっかり足場を固めていく。年度内に3店舗を出店予定で、今後の多店舗化について動向を見て検討したい。他の取り組みは、メーカーの新規開拓を進める。需要の高まりとともに、新たに市場参入する企業も増えている。新たな商品を見つけ、喜んでもらえるような商品をそろえていく。

他にも、ネットスーパーでは購入できる品数を増やす。「アットフローズン」のノウハウを取り入れ、珍しい商品も購入できるよう進めており、現在400~500SKU を扱っているが、年内に700SKU以上に増やせればと思う。ネットスーパーは日常使い、イオンショップは珍しい商品、といった形で住み分けられればと思う。

冷凍食品は支持を広げていて、美味しさの認知も広まっている。「こんなに色んな商品があるのか」とより驚いてもらえるよう、足りていない商品などを取りそろえながら提案したい。

〈冷食日報2023年9月26日付〉

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近年の冷凍食品をめぐる情勢は、共働き世帯の増加や家族構成の変化、また飲食店や量販店の惣菜売場の多様化によって需要が増加しています。一方で、家庭用冷凍食品の大幅値引セールの常態化はもとより、原料の安定的調達や商品の安全管理、環境問題への対応など課題は少なくありません。冷食日報ではこうした業界をめぐるメーカー、卸、そして量販店、外食・中食といった冷凍食品ユーザーの毎日の動きを分かりやすくお伝えします。

創刊:
昭和47年(1972年)5月
発行:
昭和47年(1972年)5月
体裁:
A4判 7~11ページ
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