味の素、2024年3月期第2四半期は売上･事業利益･純利益で過去最高を更新、冷食は増収･増益 海外が牽引

味の素が11月6日に発表した2024年3月期第2四半期連結決算は、売上高が前年同期比4.3%増の6,880億400万円、事業利益は3.0%増の765億5,600万円、当期純利益は1.2%減の464億5,700万円となった。

売上高と事業利益は中間期として過去最高を更新した。売上げは「調味料･食品」「冷凍食品」の増収が「ヘルスケア等」の減収をカバーした。事業利益は特に海外の「調味料･食品」「冷凍食品」が貢献、為替影響もあり「ヘルスケア等」の落ち込みをカバーした。

藤江太郎社長は日本の調味料･食品について「単価アップとともに数量を回復させたかったが、数量は98%で、生活防衛を乗り越えるまでの価値が十分でなかった。過去5年は筋の良い新商品を出せていないことから、マーケティングデザインセンターを設立し、打席に立つ＝新製品を発売する土壌ができつつある」と述べた。

冷凍食品事業は売上高が6.2%増の1,365億円、事業利益は前年を61億円上回る66億円で増収･大幅増益となった。海外が単価上昇と為替影響で増収となり、構造改革効果で大幅な増益となった。原材料･原燃料影響は冷食では上期累計で6億円のマイナス影響となった。冷食の業績を地域別に見ると、日本は売上高434億円で4%減、事業利益は28億円で43%増、アジアは売上高24億円で1%減、事業利益は9億円で30%減、米国は売上高824億円で11%増、事業利益は49億円で53億円増、欧州は売上高81億円で18%増、事業損益は0億円の赤字――となった。

日本冷食は売上げについて単価上昇効果があったものの数量減により減収、利益面では単価上昇やコスト改善効果で増益となった。また家庭用:業務用の売上高比率(味の素冷凍食品単体売上高430億円中)は64:36で、前年より業務用が2pt 増加した。

〈ギョーザ「バリュープライシング粘り強く」〉

国内の家庭用ギョーザ市場シェアは31%で前年よりも13pt減となり2位に落ちた。藤江社長は値上げを行った影響としたうえで次のように述べた。「円安が進む前から欧米のギョーザ単価は日本よりも3倍弱高かった。価値に見合ったバリュープライシングを粘り強く訴えていくことに取り組んだ。業界の健全な発展に向けて、業界をリードする役割も持っている。本当に良い品質の商品を各社作っているが、利益率は低い状況がある」。もっとも直近ではシェアを回復しているとして、価格やマーケティング費のかけ方の改善を評価した。

通期予想は売上高1兆4,650億円(前期比7.8%増)、事業利益1,500億円(10.8%増)の当初予想を維持、純利益は1,000億円の大台に乗せる上方修正をした。

そのうち冷食事業は売上高が9%増の2,914億円で当初見込みより9億円下方修正した。日本における販売減が要因だ。

一方で事業利益は前期比5倍の100億円と当初見込みよりも62億円上方修正。北米事業の収益改善が要因だ。冷食の北米事業では現場力の強化と構造改革により2025年度までに土台を固め、2030年度に向けて飛躍的成長を目指している。特に事業管理の進化として、伸長カテゴリーに集中し、生産面で革新を進めている。

冷食事業は収益改善によってROIC(投下資本利益率)は今期に約4%を達成する見込み。25年度に5%の目標に大きく近づいている。今期の冷食売上高の国別内訳は、日本が920億円で前期比22億円増、アジアが54億円で同6億円増、米州が1,718億円で167億円増、欧州が221億円45億円増――を見込む。

〈冷食日報2023年11月8日付〉