ホシザキ、マイナス60度で保存できる冷凍庫や解凍機が順調、新たに液体凍結機も投入

ディープフリーザー「HDF-200A」
ディープフリーザー「HDF-200A」

〈環境負荷少ない冷媒なども訴求〉

厨房機器で知られるホシザキ。凍結機に加えて、マイナス60度で保存できるディープフリーザー(冷凍庫)の提案を進めているほか、今年3月には解凍機を投入している。11月にはアルコール凍結機2機種の投入を発表した。加えて、2024年末までにすべての国内向け冷凍冷蔵庫の冷媒を自然冷媒に切り替える方針も掲げている。本社営業部の赤羽直樹部長に取り組みなどを聞いた。

――冷凍食品の動向は。

市場は今後も伸びると考えている。背景にはフードロス削減の機運の高まりや、共働き世帯の増加、中食の伸長、時短需要の高まりなどで増えていくのでは。また、今に始まったわけではないが、旬の食材を旬の時期に仕入れて瞬間凍結を行い、付加価値を付けて販売する事業者も増えるのでは。今後も堅調に推移するのでは。

冷凍食品は増えているイメージはある。それを保存するための業務用冷凍庫などは着実に伸長している。冷凍するためのブラストチラーや、解凍機も伸びており、冷凍から、保存、解凍までを網羅した提案ができるのは強みの一つだ。

〈冷凍庫など伸長 飲食店などで需要高まる〉

――様々な厨房機器を展開する中、冷凍庫が伸長していると聞く。動向は。

普通の冷凍庫は以前よりは落ち着いている一方で、超低温の冷凍庫が伸びてきている。そのため、マイナス60度の機械を発売した。水産物を扱う事業者からの支持は厚い。例えば、マグロならば保存する温度が高いと変色してしまう。そのため、超低温で保管できる冷凍庫は品質を落とさないためにも重要な機械だ。海産系の大手企業や加工工場に加えて、一般飲食店ならば寿司屋や割烹(かっぽう)、居酒屋など幅広く使われている。

マグロ以外でも食品の保存の上ではマイナス60度の方が品質を落とさずに保存できる。今夏に投入した時は2タイプのみだったが、今は5種まで増やして展開している。売れ筋はミドルクラスだ。飲食店の中にはスペースが決して大きくないところもあるので、今後は小型のモデルも追加する。

――ブラストチラーについて。

長年販売してきたが、コロナ禍に一番伸びた。外食の機会が減り、飲食店が生き残りをかけて取り組みを開始したことで大きく伸びた。凍結機と共に真空包装機も引き合いは増えている。コロナ禍が明けたあとも勢いは堅調な推移を見せる。

ブラストチラーは高品質で凍結できるだけでなく、作り置きした料理の粗熱を取るなど、飲食店での調理オペレーション改善にも役立っている。飲食店では慢性的に人手不足の状況なので、コンベクションオーブンなどと共に連携した提案を進めている。

ブラストチラーは大量調理施設で広く活用された歴史がある。常温のまま料理を置いておくと雑菌が繁殖してしまうため、繁殖しやすい温度帯を素早く通り抜けるために活用されてきた。今では幅広い食材で活用され、加工食品や和菓子など、幅広い。補助金なども出ていたため、導入はしやすい状況だったのでは。

我々で提案しているのは小型モデル。飲食店では冷凍食材の活用が以前よりも広がっていると聞く。大容量のものを購入して、コストを下げるという使われ方もある。大量生産の場合は我々の機械だと難しいが、小規模の生産者が自分たちで作った食材を凍らせるならば最適だとは思う。

〈解凍機も伸長、冷凍冷蔵庫のノンフロン化進める〉

――解凍機の動向は。

今年3月に発表し、引き合いは着実に増えている。冷凍食品市場は今後も伸びる見通しで、外食チェーンでも冷凍食材の活用などが進んでいる。その中で解凍の作業が必要になるため、解凍機の需要は今後も高まると考えている。

解凍機にもいろいろな種類があり、電磁波を与えて深部まで解凍できるものや、冷凍物に泡を当てて解凍するバブリング式などがある。当社の解凍機は温風式で、庫内の温度を均一に制御することで解凍時のムラを抑制でき、食材の美味しさを保てる。真空パックされた肉などに最適な製品だ。焼肉店のように大量の肉を使う業態から引き合いが出ている。

他にも最近投入した新型機は、チャーシューを大量に調理しているラーメン店からテスト的に導入され、その後広く採用された。元々は解凍機を販売していたが、その時はそこまで大きな広がりにはならなかったので、休売をしていた。今は大きく引き合いが伸びているので、冷凍食品市場の伸びを感じている。

――注力している取り組みは。

力を入れていることは、冷凍冷蔵庫のノンフロン化だ。環境に優しい自然冷媒への切り替えを宣言している。これは、業界的にも注目されていると感じていて、大手企業からも注目して頂けた。飲食店のトレンドとして、エコな店舗づくりは広がっている。他にも環境イメージの良い商品も支持を広げつつある。

今決まっているのは、業務用冷蔵庫、縦型の冷蔵庫、テーブル型の冷凍庫などの主要な製品は来年末を目途に自然冷媒化を目指している。展示会やホームページでも訴求を強めており、広告などでもそれを伝える内容にしている。日本では明確の規制対象にはなっていないが、今後状況が大きく変改するかもしれない。将来を見すえて提案を進める。

――今後については。

冷凍庫は保管する道具という印象が強いので、品質を保って保存するには最適な機器ということを伝えていく。解凍機やフリーザーの扱いがあることも広く伝えたい。今はさまざまな研究を進めている。環境負荷の少ない冷媒などを使った機器も多く投入してきた。こうした製品や今後検討しているものなど、色々な提案ができればと思います。

業務用自然冷媒冷凍庫「HF-75NAT」
業務用自然冷媒冷凍庫「HF-75NAT」

〈冷食日報2023年11月22日付〉

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近年の冷凍食品をめぐる情勢は、共働き世帯の増加や家族構成の変化、また飲食店や量販店の惣菜売場の多様化によって需要が増加しています。一方で、家庭用冷凍食品の大幅値引セールの常態化はもとより、原料の安定的調達や商品の安全管理、環境問題への対応など課題は少なくありません。冷食日報ではこうした業界をめぐるメーカー、卸、そして量販店、外食・中食といった冷凍食品ユーザーの毎日の動きを分かりやすくお伝えします。

創刊:
昭和47年(1972年)5月
発行:
昭和47年(1972年)5月
体裁:
A4判 7~11ページ
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