令和6年能登半島地震の影響、食品卸に聞き取り、道路寸断・金沢市内も断水、北部は「被害が大きい上に救援物資も届きづらい」
令和6年能登半島地震が1月1日に発生、5日現在の状況を石川県金沢市に本社を置く食品卸に話を聞いた。現在も北部(珠洲市、輪島市、能登町、穴水町)への道路は一部寸断、能登空港も閉鎖しているという。
「当社の社員の安否確認は済んだものの、社員の親せきに被災された人も多くいる。1日の地震直後に金沢市内でも断水が発生し、地域によっては現在も続いている。そのため、水や飲料などの受注は例年の2~3倍に上り、対応に追われている」。県内各地の物流センターについては「出勤できる人を募り、1日、2日の間に道路が寸断されていない物流センターに行き、落下や荷崩れした商品を整え、3~4日からは出荷を始めている。一方で、七尾市の物流センターは被害が大きい。現在も道路が寸断されている箇所があり、渋滞も発生している。七尾市へは通常金沢市内から1時間程度で行けるが、約4時間かかりそうだ」とした。
北部については「被害が大きい上に救援物資も届きづらい状況だ。まだまだ余震が続いている上、天気の崩れによる土砂崩れが起こることも懸念しており、作業は明るいうちに済ませて帰らなければならないだろう」とした。今後については「今年から復活が期待されていた新年会などのイベントも中止せざるを得ない状況だ。当社が例年2月中旬に開催している春季商談会の会場は現在、救援物資の保管場所となっており、駐車場も自衛隊車両が停車している」とした。
石川県七尾市に本社を置く食品スーパーのどんたくは2日から順次ホームページを更新、休業店や営業状況を掲載している。また、営業を再開した店の情報を随時アップしている。このほか、イオン、平和堂、オークワなどの流通大手各社では現在、店頭での義援金募金の呼びかけを行っている。
〈冷食メーカー聞き取りなど、七尾市の製造拠点で影響/食品産業新聞社冷食日報〉
5日時点で分かっている限り、冷食メーカー関連では石川県七尾市に製造拠点を持つ企業を中心に影響が出ているようだ。
日本冷凍食品協会の正・準会員ではスギヨ、みやけ食品、能登製菓といった企業が七尾市に本社および生産拠点を構えており、協会関係者によれば、断水や従業員の被災・通勤の問題などから工場の稼働が止まっている状況だという。また、コシノ(石川県金沢市)も七尾工場を構え、同様の影響を受けているという。
みやけ食品によれば、生産工場で大きな倒壊・大規模な損壊はないが、従業員の安全確保やインフラ関係(断水や道路状況等)の影響で生産・出荷が一時的に休止しているという。