味の素冷凍食品、“フライパンチャレンジ”にライオンが参加、冷凍餃子のフライパン張り付き問題究明へ

左から、味の素冷凍食品製品戦略部・多田裕之介リテールグループ長、同・駒木根理花リテールグループギョーザ担当、ライオン・快適生活研究所杉本美穂氏、同・リビングケア研究所瀬尾真大氏
左から、味の素冷凍食品製品戦略部・多田裕之介リテールグループ長、同・駒木根理花リテールグループギョーザ担当、ライオン・快適生活研究所杉本美穂氏、同・リビングケア研究所瀬尾真大氏

味の素冷凍食品は同社「ギョーザ」を調理した際にフライパンに張り付いてしまったという昨年5月のSNS投稿をきっかけに、生活者から同じ現象が起きるフライパンを募り検証する「冷凍餃子フライパンチャレンジ」を開始した。この取り組みに食器用洗剤を開発・販売する大手日用品メーカーのライオンが参加し、共同で「ギョーザ」のフライパン張り付きの原因究明と対策を検証する。1月31日にメディア向けに開いた味の素冷凍食品の2024年春季リニューアル品体験会にはライオンも参加し、張り付き原因の一つであるフライパンの洗浄について実演を交えて解説した。

寺本博之社長は冒頭のあいさつで「当社の主力商品である餃子市場は元気な分、新規参入も多く、発売商品の品種も増えて競争が激しくなっている。その中で懸念しているのは、冷凍焼き餃子の本来の価値が置き去りになり、価格偏重になってはいないかということだ。焼き餃子の本来の価値は、手間のかかる下ごしらえをメーカーが行い、最後にキッチンのフライパンや食卓のホットプレートで仕上げてもらうというタイムセービング。また当社は水なし・油なしを最初に実現したメーカーだが、誰が調理しても失敗なく、しかもきれいに羽根が付く。失敗なく焼けたときの満足感も大きな価値だと思う。これまでこうした価値を伝えることよりも、販促合戦・価格競争になっていなかったかと顧みて、原点に立ち戻り、本日紹介するさまざまな取り組みにつながった」と話した。

味の素冷凍食品 寺本社長
味の素冷凍食品 寺本社長

フライパンチャレンジで集まったフライパンで調理検証を行ったところ、フライパンをしっかり洗浄することで、一定数のフライパンで張り付きが改善することが確認できたという。味の素冷凍食品はこの張り付きとフライパンの洗浄との関連性を検証するため、ライオンに打診し今回、共同検証していくことが決まった。

従来品を焼いたとき
従来品を焼いたとき

ライオン研究開発本部内のリビングケア研究所のサポートを受けて、調理器具であるフライパンの側面からも課題解決に取り組む。3月8日「ギョーザの日」に使い込んだフライパンによる調理の検証結果を公表する予定だ。

〈従来品では張り付くフライパンもひっくり返すだけではがれた〉

ギョーザの焼き体験は、フライパンチャレンジで送られてきたフライパンのうち従来品のギョーザがすべて張り付いたものを使用して、9テーブル(午前と午後の部うち午後の部)で実施した。

なおフライパンは味の素冷凍食品に3,520個届いた。そのうち500ほどで従来品の調理をしたところ、その1割程度のフライパンが1袋12個焼いたときにすべて張り付く結果になったという。今春のリニューアルでは羽根の素の水・でんぷん・油のバランスを調整した。リニューアル品では、従来品ですべて張り付いたフライパンのうち26%で12個すべて綺麗にはがれるようになり、46%で一部張り付く状態まで改善されたという。

開発担当者は「再現性の検証に苦労した」と話したが、その甲斐もあって体験会場の調理でも、ほとんどがフライパンをひっくり返しただけできれいにはがれていた。

体験会ではライオンリビングケア研究所の担当者が、ギョーザを焼いた後のフライパンの汚れを薬剤を使って可視化し、フッ素樹脂加工のフライパンの洗い方の基本を説明した。またフライパンの取扱いのNG行動として、急激な温度変化や高温での使用、汚れの残存、表面を傷つけること――という4点を挙げた。

〈冷食日報2024年2月2日付〉

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近年の冷凍食品をめぐる情勢は、共働き世帯の増加や家族構成の変化、また飲食店や量販店の惣菜売場の多様化によって需要が増加しています。一方で、家庭用冷凍食品の大幅値引セールの常態化はもとより、原料の安定的調達や商品の安全管理、環境問題への対応など課題は少なくありません。冷食日報ではこうした業界をめぐるメーカー、卸、そして量販店、外食・中食といった冷凍食品ユーザーの毎日の動きを分かりやすくお伝えします。

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昭和47年(1972年)5月
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