コラボ商品やスイーツ好調、定番品の改良も継続、新カテゴリーへの挑戦も視野/ローソン
ローソンの冷凍食品は全般的に堅調な推移を見せる。コラボ商品として投入した「天下一品監修 ラーメン」が好調だったほか、スイーツも支持を広げているという。定番商品の改良も進めながら新たな価値を持つ商品の提案で、冷凍食品の売上拡大を図る。商品本部FF・日配食品部マーチャンダイザーの島津裕介氏に聞いた。
――冷凍食品の販売状況は。
売上は前年比で約1割伸びていて、コロナ禍の20〜22年と比べると伸び率は落ち着いてきた感じはあるが、順調な推移を見せている。数量ベースでは価格改定の実施もあり、若干苦戦はしたものの、前年並みは維持できている。
――好調な商品群は。
実験的に販売している「冷凍おにぎり」は、別の部隊の取り組みのため詳細は分からないが、数字としては想定以上で推移したという。今後の進め方は検証を行いながら色々検討をしていると聞いている。
他には、麺類だ。2割弱ほど伸びた。昨年2月に発売した、ラーメンチェーンの天下一品さんと取り組んだ「天下一品監修 ラーメン」が非常に好評で、しっかり販売もついてきている。過去の新商品の中でも類を見ないぐらいの売上で、トップクラスの商品となっている。全国的にも知名度の高い天下一品さんの商品を、ローソンで買えるという手軽さや、味の良さ、サイズ感などが支持されている。
パスタは、カルボナーラやミートソース、ナポリタン、明太子クリームといった定番品が支持され、売上の大きなボリュームとなっている。定番品はお客様の声を聞きながら改良を進めていて、昨年から実際に利用されている方に、現行品とリニューアル品を食べ比べてもらい、その声を聞きながら改良を行っている。例えばカルボナーラだと、ベーコンの量を変える、クリーム感を変えるなど、細かな味の改良を行っている。直接お客様から聞くことで、別の商品のリニューアルにつながることもある。
――冷凍食品の定番品の改良は何品で行っているのか。
約10品で行っている。新商品はもちろん大切だが、売上の基盤を作るのは定番商品なので、そこの改良はずっと続けている。
――スイーツの動向は。
全体として好調に推移している。テレビなどで取り上げていただく機会が多かったこともあり、「アップルパイ」のように、冷凍庫から取り出してすぐに食べられるというコンセプトはお客様にも伝わってきていると感じている。
今一番順調なのは「焦がしバター香るカヌレ」だ。これまでは冷凍庫からすぐに食べられるようにしていたが、「焦がしバター香るカヌレ」は冷凍庫からすぐに食べられるだけでなく、トースターで調理すると別の食感も楽しめるようにした。この具現化には苦労をした。
TBSの「ジョブチューン」でも取り上げていただき、パティシエの方から「チルドのカヌレより美味しい」という声もあった。そこで冷凍スイーツは美味しいという認識が広まったのでは。冷凍庫から出してすぐでも、トーストしても美味しく食べられるというのは苦労した部分で、このコンセプトは支持を得られるようになってきた。今までは洋菓子がメインだったので、和菓子も展開を進めたい。
――その他の取り組みは。
監修商品は継続的に取り組んでいく。専門店の美味しさを手軽に楽しめる商品は、麺や米飯にこだわらず、スイーツでも取り組んでいく。監修商品だから必ず売れるわけではないが、SNSなどのコメントを見ると、好意的な意見が多く、味はもちろん、安心して購入してもらえるというのは大きいと感じている。
冷凍食品自体の認知度や購入頻度はまだまだ低いため、どうしても買うことに不安を覚える方もいる。監修商品はこうした方が冷凍食品を手に取る入口になるのではと思っている。
〈辻口シェフ監修テリーヌ発売 継続購入につながる取り組みを〉
直近では、スイーツで「味の素冷凍食品 辻口博啓監修 ショコラテリーヌ」と、「味の素冷凍食品 辻口博啓監修 狭山抹茶テリーヌ」の2品を発売した(北海道・東北・関東地域のローソン、ナチュラルローソンで販売)。構想から1年弱はかかって作った商品で、辻口さんからも色々なアドバイスをいただきながら開発した商品だ。味はもちろん、パッケージでも上質感を感じられるようにしている。
監修商品はまだまだチャレンジの余地はあると思う。冷凍食品を継続して購入してもらえるような形になればと思っているので、今後も強化したい。
――今後の取り組みは。
スイーツは強化したいカテゴリーだ。冷凍のスイーツを購入される方は、チルドと同様に20〜30代の女性が多い。飽きさせないメニューの展開を続けていく。まだまだ展開できていない商品もあうので、冷凍らしさを出しながら色々と挑戦したい。
また、新カテゴリーにもチャレンジできればと考えている。何らかの形で来年度中には実験も含めて取り組みたい。
〈冷食日報2024年2月22日付〉