キンレイ「亀山工場第1期工事完成 お披露目会」を開催、将来構想を見据え余裕ある設計に、第1期は既存商品の供給強化と安定化を図る
キンレイは4月17日、国内3拠点目となる新工場「亀山工場」の第1期工事完成を記念しお披露目会を開催した。
同工場は、キンレイ主力商品群「お水がいらないシリーズ」の商品供給力増強を目的として計画した。現在第1期工事で稼働している1ラインは、最終型の4分の1ほどで、将来構想を見据え余裕を持たせたスペース設計となっている。3~4年後に稼働を予定する第2期工事計画で1ラインを追加し、さらなる稼働を目指す。
お披露目会には白潟昌彦代表取締役社長のほか、一見勝之三重県知事、櫻井義之亀山市長、森美和子亀山市議会議長らが登壇し、あいさつした。
同工場の計画意図について、〈1〉同社独自技術を有する高付加価値冷凍調理麺の専用工場をあらたに建設し、商品供給力の増強を図ること〈2〉ビジョンとして掲げる「専門店を超える専門店になる」を具現化すべく、より一層の品質向上を具現化できる生産拠点の確保――の2点を挙げている。
田嶋徹常務取締役生産本部長によると、キンレイの主力商品「お水がいらないシリーズ」の販売は好調に推移しているという。足元の状況もテレビに取り上げられた影響もあり好調が継続。2024年3月は例年より気温が低かったことも追い風となった。
同シリーズでは、キンレイの独自開発技術である「3層構造」を採用。同技術はだし・麺・具材を重ねて凍結することで、だしから順に溶けていくためコシのある麺を実現している。既存工場の大阪・筑波で同シリーズの生産がフル稼働となり、供給がひっ迫していることを受け、3工場での安定供給を目指していく。
今回の計画では、第1期、2期計画を見据えた2ライン分の建屋の建設と、将来構想用地の確保を行った。第1期の目標は既存商品の供給力強化と生産体制の安定化に努める。3年~4年後に稼働を予定している第2期では、1ラインを増やして稼働を進め、既存商品のさらなる品質向上・生産力強化を図り、最終的には、既存工場同様16時間のフル稼働、年間2000万食を目標としている。
調理加工スペースは余裕を持たせた設計となっているため、今後の商品力強化にも対応する。「スープの品質向上や外注具材の自社製造などに利用し、より専門店に近い本格的な味を目指していきたい」としている。
将来構想用地については、市場動向や生活者の変化などを見極めながら計画を進めていくという。
同工場では、省人・省力化にも注力する。これについて、白潟氏は「同社の価値基準に則り、人間がやることで価値を生み出せることは残していき、そうでない部分の省人化に努めている」と話している。
同工場では小麦粉自動開袋機による運搬で、最大6人の人員削減につなげたほか、包装・梱包作業を中心とした自動化を実現。また、製品倉庫・製品フリーザーなど全大型冷凍機に脱フロン・脱炭素型の自然冷媒を採用するなど、環境にも配慮した設計となっている。
雇用については、自治体の雇用施策などに基づき、地元亀山市での採用強化を図っている。現在はのべ100人ほどで稼働しており、将来的には約250人での稼働を目指す。
今後の計画として、地域貢献にも注力する。工場見学などを通じた教育機関との連携のほか、既存工場同様に災害時における物資の調達供給や避難場所の提供なども担う。「お水がいらないシリーズ」直近の売上げは「テレビに取り上げられた影響で、好調が継続している。今年の3月は例年より気温が低かったことも貢献しているのではないか」とした。
〈「地元の人々に愛されるような工場・企業を目指す」/白潟社長〉
代表者挨拶で白潟社長は「亀山工場の生産ラインは現在1ラインのみとなっていて、最終型の4分の1でスタートした。1974年に創業した当社において、今年は50周年の節目の年となる。次の半世紀に向けて着実に進化・発展を遂げていきたいと考えている。しっかりと価値を生み出し、また、亀山の地元の人々に愛されるような工場、企業を目指す」と話した。採用面については「厳しい状況ではあるが、地元の人々を中心に外国人の方も採用し、あらゆる手段で確保に注力した。労働環境や安全性、働きやすさにも目を向けていく」としている。
一見県知事は「三重県には、利便性や水質、県民性など魅力がたくさんあり、働ける方をどんどん採用していただきたいと思っている。第2期・3期とさらなる発展にも期待したい」と祝辞を送った。櫻井市長は「主力商品である麺のように、太く長く亀山の地に貢献いただき、地域づくりのパートナーとして、相互に責務を果たしていきたい」と話した。
【キンレイ「亀山工場」概要】
立地場所:三重県亀山市白木町地内(亀山テクノヒルズa-3、a-4区内)、工場用地面積:35,764平方メートル(第1期計画では延床面積:15,334.88平方メートル)、総投資予定額:約60億円、着工:2022年11月、竣工:2024年3月、操業:2024年4月。
〈冷食日報2024年4月19日付〉