マルハニチロ、JR東日本と東京大学と連携し魚食のリデザインや完全栄養食の実現目指す

マルハニチロ 池見社長(写真左)
マルハニチロ 池見社長(写真左)

マルハニチロは5月31日、JR東日本と東京大学の3者の強みを活かし、人と地球に優しい食「プラネタリーヘルスダイエット」の実現に向けた取り組みを進めると発表した。3者の取り組みで、長期保存可能な魚食の開発や、鮮度などが分かる魚売り場用のツールの開発、健康状態などに応じてパーソナライズされたスーパーフードの実現などに向けて取り組む。また、2026年2月には、JR東日本が開発を進めている「TAKANAWA GATEWAY CITY」(東京都港区)内のオフィスビルへの本社移転も予定している。

JR東日本と東京大学は100年間の産学協創協定を2023年10月に締結し、協創プロジェクト「PHD Lab.」を立ち上げて、人や街、地球のすべてがバランスよく良好に保たれるような暮らしを目指す「プラネタリーヘルス」の創出を目指している。今回、マルハニチロを新たなパートナーに加え、人と地球に優しい食の実現を目指す。

このビジョンの実現に向けた取り組みとして、〈1〉魚食のリデザイン〈2〉パーソナル・スーパーフード(完全栄養食)――に関する取り組みを進める。この取り組みは、5月31日にはマルハニチロと東京大学で基本合意書を締結している。

魚食のリデザインは、東京大学の人工知能や水産学などの知見と、JR東日本の顧客接点、マルハニチロの製品開発力を掛け合わせて、魚のリブランディングやリバリューに挑戦する。

例えば、長期保存が可能で、骨なしで高い栄養化などを備え、後処理も簡単な魚肉の開発や、魚の鮮度や価値などの美味しさが見える魚売り場用のツール開発、調理技術を必要とせず生臭さを減らしながらもすべて食べられる魚の開発、新たな養殖システムの導入や培養魚の導入によって調理が容易な魚肉の適時供給などの取り組みを検討している。

また、東京大学の分子栄養学や情報学などを掛け合わせ、一人ひとりの健康状態に応じてパーソナライズされた「パーソナル・スーパーフード」の実現も目指す。忙しい中でもそれぞれに最適な食事の提供を目指す。

これらの取り組みを一般の人でも体験できる場を「TAKANAWA GATEWAY CITY」内に設けるほか、オフィスワーカー向けの食堂で、Suicaの移動データなどを基にパーソナライズ化されたメニューの提供なども検討する。

〈本社を東京・高輪に移転へ〉

また、2026年2月には、JR東日本が開発を進めている「TAKANAWA GATEWAY CITY」(東京都港区)内のオフィスなどが入居するビルに、マルハニチロの本社が移転予定だ。異業種ともかかわりを持ちながら新たな価値創造を図っていくという。

5月31日に都内で行われた記者会見で、池見賢社長は「新たな食の展開やイノベーションに取り組もうと決断し、このプロジェクトに参加した。(完全栄養食などの施策について)具体的な方法などはこれから東京大学らと詰めていく」と語った。

JR東日本では、東京・高輪エリアで大規模な都市開発を進めている。街を拠点に企業と研究機関をつなぎ、新たな価値創造を目指しているという。

〈冷食日報2024年6月3日付〉

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