ニップン、マーケティング企業「刀」と協業、『オーマイプレミアム』冷凍パスタを起点に乾麺も育成、売上は伸長

ニップン・前鶴俊哉社長と、刀・森岡毅CEO
ニップン・前鶴俊哉社長と、刀・森岡毅CEO

ニップンは6月20日、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの再建などで知られるマーケティング企業の刀(大阪市北区)との協業発表会を都内で開いた。

両社は2022年10月から取り組みを開始し、マーケティング力の強化などで、『オーマイプレミアム』シリーズの冷凍パスタは約20%、乾燥パスタは約16%伸長したという。今後も刀のマーケティングノウハウをニップンに伝え、ニップンの成長と共に、成熟市場であるパスタ関連市場の活性化を図る。24年度のオーマイプレミアムブランド全体の売上目標は120億円。

会見にはニップンの前鶴俊哉社長と、刀の森岡毅CEOが登壇した。

ニップンでは、業務用市場での展開に加えて、家庭用市場も事業の柱にすべく深耕を進めている。しかし、パスタ関連業界は成熟市場とも言われており、伸長させることが難しかったという。

前鶴社長は、商品開発力に加えて、「消費者が本当に求めるものを理解するマーケティング力が必要と考えていたところ、刀の支援が解決策を示すだけでなく、ニップンの中にノウハウを移植して組織力も高められるため、協業を開始した」と、協業の経緯などを話す。

組織改革として本社で広告・開発・営業などを集約した新たなマーケティング組織を立ち上げたほか、営業現場でのパスタ購入者を起点とした組織体制の構築などにも着手したという。

その結果、取り組み開始から約1年半で、『オーマイプレミアム』シリーズの冷凍パスタは20%(23年10月~24年5月、前年同期比)伸長した。乾燥パスタは16%(24年3~5月、前年同期比)の伸長だった。今年3月に発売した「もちっとおいしいスパゲッティ」が発売から2カ月で1,000万食を超えたことなどが貢献した。シェア率も拡大したという。

刀の森岡CEOは「企業がマーケティングを本気で導入すれば、成熟市場やコモディティ市場でも成長することが可能である」と強調する。

森岡CEOは「競合の商品を分析すると、簡便性を打ち出す商品が多い中、食の本質である『おいしさ』の提案が抜けていた」と指摘する。「『おいしさ』」を実感できることを真ん中に置いた提案が大切だ」と力を込める。

そこで今回、冷凍パスタ市場で広く支持されている『オーマイプレミアム』を軸に展開を進めたという。インテージSCIのデータによると、『オーマイプレミアム』は冷凍パスタ市場にてトップシェアを競っていたブランドだが、新商品の投入などで確実にトップシェアを得られるようにした。そして、乾燥パスタでも美味しさを実感できる商品として『もちっとおいしいスパゲッティ』を展開し、販売の拡大につなげた。

今後も市場のさらなる活性化を狙いながら、冷凍パスタ・乾燥パスタ含めた『オーマイプレミアム』ブランドの育成を図る。24年度の売上目標は120億円。さらに、社内にマーケティングのノウハウを他の社員に伝えられる、チューターのような存在の育成も進めている。

前鶴社長は「新商品や新たなカテゴリーの展開も検討している。十分な調査検討を行い、戦略をたてて次の展開を図りたい」と語った。

〈冷食日報2024年6月24日付〉

媒体情報

冷食日報

冷凍食品に関するあらゆる情報を網羅した日刊の専門紙

冷食日報

近年の冷凍食品をめぐる情勢は、共働き世帯の増加や家族構成の変化、また飲食店や量販店の惣菜売場の多様化によって需要が増加しています。一方で、家庭用冷凍食品の大幅値引セールの常態化はもとより、原料の安定的調達や商品の安全管理、環境問題への対応など課題は少なくありません。冷食日報ではこうした業界をめぐるメーカー、卸、そして量販店、外食・中食といった冷凍食品ユーザーの毎日の動きを分かりやすくお伝えします。

創刊:
昭和47年(1972年)5月
発行:
昭和47年(1972年)5月
体裁:
A4判 7~11ページ
主な読者:
冷凍食品メーカー、量販店、卸、外食・中食、輸入商社、物流会社、業界団体など
発送:
東京、大阪の主要部は直配(当日朝配達)、その他地域は第3種郵便による配送 *希望によりFAX配信も行います(実費加算)
購読料:
3ヵ月=本体価格21,384円(税込)6ヵ月=本体価格42,293円(税込)1年=本体価格83,160円(税込)