三井不動産、お取り寄せグルメサービス「ミタセル」を本格事業化、運営主体となる新会社を設立 2030年に事業規模50億円を目指す
三井不動産は25日、ミシュランガイド掲載店など、さまざまな日本の名店の料理を取り寄せられるグルメサービス『mitaseru(ミタセル)』を本格事業化すると発表した。今後、サービスの運営は新会社「株式会社mitaseru JAPAN」が主体となる。国内販売に加えて海外展開にも着手するほか、25年秋には新たな製造拠点も設置し、2030年の事業規模50億円を目指す。
『ミタセル』は、三井不動産グループの事業提案制度『MAG!C』から生まれたグルメプラットフォーム。飲食店からブランドやレシピを提供してもらい、『ミタセル』側で食材の調達や調理代行、販売チャネルの構築などを行い、飲食店にはのれん代として売上の一部を支払う形となっている。商品の製造は大阪にある外部パートナーが行っている。人手不足や食材費の高騰などに悩む飲食店にとって、新たな売上の確保にもつなげられるという。
販売は『ミタセル』サイトに加えて、マンション、商業施設、駅などでの無人販売なども行っている。主な利用者は60台前後のシニア層で、全利用者の7割以上が50代以上だった。1注文あたり1万円前後で推移しているという。
2023年4月にサービスをスタートし、約1年間の取り組みで堅調に推移したことから、本格的な事業化に至った。現在、ミシュランガイド掲載店のフレンチレストラン『La paix(ラペ)』や、東京・日本橋の有名店『日本橋ゆかり』、JAL国内線ファーストクラスの機内食の監修などを行っている菰田欣也氏が手掛ける『ファイヤーホール4000』など34店舗が参加し、67商品を販売している。25日には新商品3品(『博多もつ鍋 やま中』の「もつ鍋セット 味噌味」〈1.5~2人前、3,996円〉や、『オステリアブッコ ボロネーゼ』の「ポルチーニ茸入りボロネーゼ」〈1,992円〉など)も発表している。
26年には100店舗の参画を目指している。日本橋エリアを参画する飲食店の強化エリアの一つに位置付けて提案を進める。
また、今年秋には日本橋エリアの飲食店と共に、合同会社シーベジタブルの海藻を使ったコラボ商品の販売も予定している。シーベジタブルは、減少しつつある海藻を採取して、環境負荷の少ない陸上栽培と海面栽培によって蘇らせ、海藻の新しい食べ方を提案している企業だ。海藻の新たな食体験の提供などにつなげる。
〈独自商品として閉店した有名飲食店のレシピ復刻 今後は生産強化なども〉
独自商品の開発にも力を注いでいる。様々な理由で閉店を余儀なくされる飲食店の味を守るため、「美味しいの継承」プロジェクトを立ち上げ、『ミタセル』のみで扱っている商品として販売している。23年11月には、火災によって閉店を余儀なくされた川崎で人気があったつけ麺店『つけ麺 大武』の復刻商品として「復刻・山くらげ入り鰹と宗田節出汁の鶏つけ麺」(税込1,350円)を発売した。
第2弾メニューは、新型コロナウイルスの影響で閉店した、東京・大島にあった人気店『りんすず食堂』の人気メニューレモンラーメンを復刻する。そば出汁とラーメンスープを融合させ、スープとレモンの相性が唯一無二の「復刻・レモンラーメン」(1,782円)を、独自商品として販売する。
製造体制の強化として、25年秋を目途に新たな生産拠点を設ける。現在は大阪府内にある外部パートナーの元で製造しているが、今後は三井不動産の物流施設「MFLP 船橋」(千葉県船橋市)の中に新たな拠点を設置予定で、2拠点での商品供給を行う。
さらに、海外展開も検討しているという。シンガポールや台湾安どの東南アジア地域に向けて、商品の提供を目指している。これらの取り組みで2030年の事業規模50億円を目指す。
25日に行われた発表会で、mitaseru JAPANの松本大輝社長は「日本の味を世界にも届けたい。心とお腹を満たせるサービスとして展開できれば」と語った。
〈冷食日報2024年6月26日付〉