エア・ウォーターがポイ活アプリの運営会社を買収、若年層との接点増とデジタルマーケティングの強化へ

エア・ウォーターは7月1日、アンケート・ポイ活アプリ「Powl」を運営するPTX(東京都渋谷区、小室直樹社長)の発行済株式総数76.8%を取得したと発表した。株式取得日は6月28日。PTXを傘下に入れることで、同社グループと今まで接点がなかった一般消費者や若年層とのつながりを強化し、認知度とブランドイメージ向上を図る考えだ。またデジタルマーケティングを活用し、客の声を基にした商品開発力の強化や、ターゲットを絞ったプロモーションを展開していく。

同日、エア・ウォーターの大阪本社で秋田正倫理事AI・DX推進室長とPTX小室社長が記者会見を開いた。

エア・ウォーターは各事業分野にAI・ロボティクスによる自働化やデータ解析による経営の推進、デジタルサービス・プラットフォーム事業の開発、そして顧客へのパーソナライゼーション・エンゲージメントの向上といった、デジタルの強化に取り組んでいる。

今回のM&Aの目的は〈1〉エンドユーザーへのリーチ〈2〉若年層へのリーチ〈3〉マーケティングDX――を主眼としている。

PTXが展開するPowlは歩くだけ、アンケートに答えるだけなどで簡単にポイントが貯まる、いわゆるポイ活アプリ。貯まったポイントは各種決済アプリのポイントやギフトに交換できる。

会員は500万人を超え、利用者の属性は10~30代が全体の約80%を、女性が70%以上を占める。会員数は年40~50%増加し、27年に1,000万人を突破する見込みだという。

秋田氏は「これから開拓したいユーザー層が多く、アプリの性質上、調査だけでなく行動変容を生むことができる」と述べた。

AWはPowlを活用することで、一般消費財の領域ではエンドユーザーとの接点を持ち、その声を反映した商品開発や店舗誘導のマーケティングが可能になる。またLPガス事業ではポイント付与によるサービス向上と個別の追加商材の紹介などが可能になるとしている。

将来的に自社メディアとして「AW版Powl」を開発する可能性にも言及した。PTX小室社長は「AWのデジタルマーケティングやDX領域の成長を一緒に取り組んでいきたい」と述べた。

なお、PTXのグループ入りに際して、メディア事業・リサーチ事業・プロモーション事業・マーケティング事業を展開する株式会社TesTee(本社:東京都渋谷区、代表取締役:横江優希)は、株式取得日と同じ6月28日を実行日として、新設分割と社名変更を実施した。リサーチ事業・プロモーション事業・マーケティング事業は新設分割の方法により、新会社(商号:(株)テスティー、本店所在地:東京都渋谷区桜ヶ丘9番8号)に承継し、ポイ活アプリ『Powl』をはじめとしたメディア事業を行うTesTeeが商号を「(株)PTX」へと変更した。

【PTX概要】
▽設立:2014年5月
▽代表者:代表取締役社長小室直樹
▽本社所在地:東京都渋谷区桜ヶ丘9番8号
▽資本金:48百万円
▽従業員数:27人
▽事業内容:ポイ活アプリ『Powl』をはじめとしたメディア事業

〈経営・業務・事業でDX推進「攻めも守りもデジタルに注力」〉

エア・ウォーターの秋田室長は電子母子手帳アプリなどを展開する、エムティーアイ・ヘルスケア・ホールディングスの元社長で、23年にエア・ウォーターにIoT・AI・解析部の部長として入社した。この7月1日にAI・DX推進室が発足し、室長に就任している。

エア・ウォーターはAI・DX方針として3つの方針を掲げる。1つは「経営のDX」=データドリブン経営の推進によりROE9.7%を12%に、ROIC5.6%を8%にそれぞれ引き上げる。「業務のDX」では業務自働化により業務用率を2倍に、同時に業務監査強化につなげる。「事業のDX」ではコト売りDX事業の創出、マーケディングDXを推進する。

強化ポイントとして次の2点を掲げる。「DX基盤強化」=セキュリティ、データ基盤、AI強化、「DX人材育成」=効率的なビジネスを生み出せるビジネスパーソンの育成――。

秋田室長は「今後も攻めのデジタルも、守りのデジタルも、力を入れていく」とした。

〈冷食日報2024年7月2日付〉

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昭和47年(1972年)5月
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