【外食の冷凍食品】すかいらーくグループの冷凍食品、求められている「簡便性」を追求、販売はほぼ倍増で推移

「バーミヤンプレート」
「バーミヤンプレート」

すかいらーくグループでは、自社ブランドを冠した冷凍食品の販売を進めている。冷凍食品の市場に求められている簡単調理に対応すべく、既存商品の改良を進めたところ、販売は倍近くまで伸びたという。2024年9月にはバーミヤンブランドのワンプレート商品を投入するなど、冷凍食品の提案を本格化させている。購買本部HMDグループの奥井浩司ディレクターに聞いた。

奥井ディレクター
奥井ディレクター

――冷凍食品市場についてどう見ているか。

コロナ禍に大きく支持され、今も堅調に推移していると感じている。特に外食産業が不調だった際、冷凍食品は幅広い商品が支持されたと思う。

ただ、近年では材料費や光熱費、為替などコストアップによって、様々な物価の高騰が見られる。冷凍食品に限らず多くの食品で、売価が上がった分売上は確かに伸長しているものの、数量ベースでは前年並みか下回る傾向にあるのでは。

また、単身世帯の増加によって誰かと食事を食べる機会は減ってきている。そのため、家庭で野菜を切って調理する、というシーンはより減っていくのでは。生鮮食品も近年価格の乱高下が見られるが、冷凍食品は価格が比較的安定している。食品ロス削減の観点からも今後の引き合いはあると感じている。

外食市場では高価格帯と低価格帯に支持が集まり、中価格帯への支持は以前よりも落ち込んでいる。贅沢するときはお金をかけ、普段は節制するというようなメリハリ消費の動きが見られる。

冷凍食品も同様で、ちょっとした贅沢に対応した商品が売れると同時に、冷凍うどんなどの販売も伸びていると聞いている。

――今の販売状況は。

量販店向けは2023年比ではほぼ倍増となった。ECでも似たような傾向にある。ECは、楽天市場とAmazon、自社サイトでの通信販売に加えて、2024年から「Yahoo!ショッピング」やKDDIのECモール、ドコモの「dストア」、「さとふる」でのふるさと納税の返礼品の販売といった面の広がりが貢献したと思う。また、各モールの担当の方と売れ筋商品の分析も行っていて、ニーズを捉えた商品を展開していることが最も大きい要因だと感じている。

冷凍食品の販売開始からまだ3年と短いので、まだまだ伸びしろはあると感じる。

――現在の売上比率は。

外販のシェアが高く、非常に好調な推移を見せている。以前は半々だったが、2023年秋頃から商品リニューアルを進めたことで、量販店での売り上げが大きく伸びている。

――商品面での取り組みは。

これまではセントラルキッチンで作った商品を送り出してきたが、方針を大きく変えてほとんどの商品を今は協力工場と一緒に送り出している。最初の頃は各ブランドの売れ筋商品を、セントラルキッチンで製造してきたが、業務用商品の延長のような作りだったので、伸びきらない時期があった。そのため、お取引先様からの声を受けて商品の改良などを進めたことも、広がった要因だと感じている。

自社のセントラルキッチンで調理されたものは、レストランで最後のひと手間を加えることが前提の設計になっている。それが店舗での持ち味であるできたて感や美味しさになるのだが、家庭用の冷凍食品に求められる「簡便性」には応えきれていなかった。例えば春巻きは、家でしっかり揚げることを前提とした商品設計だった。それを、少ない油でも揚げられるように刷新したところ、以前の商品と比べて1.5倍もの出荷となった。

他にも、小籠包は生タイプだったところをレンジで調理できるようにした。シュウマイは1個当たりのサイズを大きくして食事需要に応えられるようにするなど、ニーズに合わせた改良を進めた。

また、すかいらーくグループが冷凍食品の販売していることを知らない方が多く、認知度を高めるために地道な提案を進めたことで販売先を増やすことができ、売上も伸長した。

〈「バーミヤン」のワンプレート商品も投入 レストラン品質を追求〉

――商品数と、売れ筋は。

改廃もかなり進めて、今販売しているのは19品だ。

最も売れているのは、「バーミヤン 本格炒飯」。店舗の味を再現した商品として広く支持されている。コメ不足騒動による影響もあって順調に推移している。

「すかいらーく ガスト マヨコーンピザ」もかなり売れた商品だ。去年まではプレーンピザを自社工場で作っていたが、コーンまでトッピングできる協力工場と共に、オーブントースターで簡単に調理でき、多少冷めてもピザの耳が固くならない商品として提案したところ、「プレーンピザ」とは比べものにならないぐらいの売上となった。

「チーズインハンバーグ」は通販で最も人気の商品となっている。

他にも、コストコさんで販売している大容量のチャーハンも順調だ。2024年7月に販売を始めたばかりだが、当社の売上トップ3に食い込むほどの勢いだ。求められている水準を満たすことに苦労した商品だが、長年のお付き合いがある協力工場様のおかげで実現できたと思っている。様々な工場様とのつながりも、当社の強みだと思っている。

――販売拡大に向けた取り組み。

2024年の9月、「バーミヤンプレート」というワンプレート商品3品を全国発売した。バーミヤンのチャーハンと油淋鶏(ユーリンチー)や、麻婆豆腐とチャーハン、肉あんかけとチャーハンという組み合わせだ。

進みつつある個食化のニーズに合わせた提案だ。希望小売価格は税抜498円。8月には、関東のダイエー様とイオン様でこの3商品を先行して発売した。簡便性の高い商品なので、これまで取引のなかった店舗からも引き合いが来ている。販売は好調に推移していると聞く。

また、来春には全国的にも認知度の高い「ガスト」ブランドのワンプレート商品も2~3品ほど投入できればと考えている。

他にも、値ごろ感のある新しいワンプレート商品の検討も進めているほか、もう少し若めの方に向けた商品も検討したい。

――導入店を増やす取り組みは。

展示会への出展でしっかり商品を認知してもらい、小売店との接点を設けたい。さらに、部署の人員数を強化し、大手の小売店だけでなく、地方の有力スーパーとの接点を作れるよう取り組んでいく。

ECでも、より検索で上位にあがるための取り組みや、自社サイトの使い勝手の改善なども進めたいと考えている。

――今後力を入れることは。

外販と外食は、ビジネスとして共存はできそうだと思っていたが、店舗で使用している業務用の商品と、家庭用冷凍食品は最後の「簡便性」の部分が違っていた。この部分を改良してから売り上げが伸びたことで、会社としても冷凍食品に可能性を感じ始めている。事業としての安定的な成長も見られるため、商品の改良や新商品の投入などを進めながら拡販に向けた提案を強めていく。

様々なコストカットを進めながら、価格だけの勝負ではなく、お客様の期待に応えたレストラン品質を保った提案を進め、今後も事業を成長させられればと思う。

〈冷食日報2024年11月19日付〉

媒体情報

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近年の冷凍食品をめぐる情勢は、共働き世帯の増加や家族構成の変化、また飲食店や量販店の惣菜売場の多様化によって需要が増加しています。一方で、家庭用冷凍食品の大幅値引セールの常態化はもとより、原料の安定的調達や商品の安全管理、環境問題への対応など課題は少なくありません。冷食日報ではこうした業界をめぐるメーカー、卸、そして量販店、外食・中食といった冷凍食品ユーザーの毎日の動きを分かりやすくお伝えします。

創刊:
昭和47年(1972年)5月
発行:
昭和47年(1972年)5月
体裁:
A4判 7~11ページ
主な読者:
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