訪日客の嗜好が変化、水炊きや湯葉が人気に、ハラル対応焼肉も注目/飲食店予約サイト「セイバー・ジャパン」

飲食店予約サイト「セイバー・ジャパン」の人気レストランに変化、水炊き、湯葉、ハラル対応の焼肉に注目集まる
飲食店予約サイト「セイバー・ジャパン」の人気レストランに変化、水炊き、湯葉、ハラル対応の焼肉に注目集まる

〈和牛の焼肉店やうなぎ、寿司の王道に加え、地方特有の料理も人気に〉

USEN(東京都品川区)が運営するインバウンド向け飲食店予約サイト「SAVOR JAPAN(セイバー・ジャパン)」。インバウンド向けに人気レストランは、和牛の焼肉店やうなぎ、寿司といったメニューが依然として支持されている。その一方、水炊きや湯葉といった地方特有の料理や、ジンギスカンなどのハラル向け焼肉店も人気があったという。

リピーターの訪日観光客が増えたことで、東京や大阪といった都市部だけでなく、地方へと足を延ばす人が増えつつあるようだ。同社でもこうした人たちに向けて、飲食店の情報と共に周辺の観光情報の発信なども強めて利用の拡大を狙う。

「セイバー・ジャパン」は、1万5,000店以上の飲食店情報を掲載している予約サイト。SNSではシズル感のある料理動画の掲載に加えて、日本食のマナーについてトップシェフが教える動画なども発信している。ショート動画を通じた発信も開始して総フォロワー数は1年で約2.7倍と大きく増え、公式アカウントの総フォロワー数は約70万人、月間リーチ数は約2,000万人を超える。

2023年12月~24年11月までの予約ランキングで、トップは焼肉店の「松阪牛 WHAT’S 京都室町店」(京都府)だった。次いで「鰻 炭焼 ひつまぶし 美濃金 神田本店」(東京都)、「海鮮料理浜の家」(沖縄県)など、訪日観光客からの支持が厚い焼肉店やウナギ、和食、寿司店が上位に入っている。

その一方で、近江牛をしゃぶしゃぶやすき焼き、肉 寿司といった様々な調理方法で提供する「肉のあさつ」(大阪府)や、ハラル認証を受けた食材を使用している「渋谷 牛門」(東京都)、ベジタリアンやヴィーガンに対応した京ゆば料理店「京ゆば処 静家 二条城店」(京都府)といった店舗も支持を集めている。

(左から)マーケティング課の川端氏と木村氏

マーケティング課の川端志保氏は「訪日客がより増えたことで、食のし好やジャンルの好みは広がりつつある。その中で再度訪日してくださる方も多くおり、今まで食べたことのなかった新しい味に挑戦される方もいるのでは」と話す。

同社が調べた訪日客の平均単価は、7000~8000円ほど。日本人よりも高い傾向にあるようだ。

近年の傾向について、マーケティング課の木村明音課長は「ベジタリアンやヴィーガン、ムスリムの方でも安心して食事を摂れるような対応をしている飲食店を予約される方が増えてきている。アジア圏からのリピーターも増加傾向で、最初に東京に来て王道の寿司や焼肉を食べて、2回目は最初とは違う街へ行ってみる、食べたことのないものを食べてみるという楽しみ方に今後変わっていくのではと予想している」と話す。

日本政府観光局の発表によれば、2024年の訪日客は3,687万人で、過去最高を記録した。その中で、東南アジアや東アジアなどから訪れる人は増えている。そのため、「多様な食習慣への対応は、インバウンド対応をされる飲食店にとってはより重要になるところで、今後さらに注目は集まるのでは」(木村課長)と分析する。

また、2024年における訪日された方の消費金額は8.1兆円で、その中の割合としても飲食費に費やす割合はコロナ前と比較しても大きく増加している。さらに、「爆買い」のように物品の購入が中心だった部分が、食体験やアクティビティといった、「日本を楽しむ」というところに消費する傾向が強くなっているようだ。

「セイバー・ジャパン」でも、SNSや記事コンテンツで地方飲食店の情報発信を強めるほか、周辺の観光情報も紹介し、利用のさらなる拡大を狙う。

川端氏は「飲食店に関する情報発信と共に、日本を観光する上で役立つ情報も発信するなどして、観光と料理の両方を楽しんでもらい、飲食店の方にとっても喜んでもらえたら」と語る。木村課長は「将来的には、USENのDXに関連した商材と連携することで、飲食店様の業務効率化を支援できれば」と話した。

〈冷食日報 2月14日付〉

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昭和47年(1972年)5月
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