14社増収、減収は4社-12月期食品メーカー決算
ビールメーカー4社を含む主要食品メーカー19社の16年12月期決算(一部11月)が出揃った。連結売上は19社中14社が増収、減収は5社と前年度より増収が2社増えた。ただ、ビールの大手2社が減収となった。その一方、営業利益は黒字転換1社を含む全社が増益と収益面では非常に好調。アサヒグループHD、山崎製パン、キユーピーは過去最高の売上となった。4月に経営統合するコカ・コーラの東西2社も増収増益。
12月期決算の主なメーカー19社のうち、上位2社は減収となったが、その他の上位メーカーは増収が目立つ。各社の売上げ等は表1参照。
単純に全社の売上高を合計すると11兆6370億円となり、前年比0・4%減(連結子会社2社=サントリー食品IN、不二家を除くと0・8%減)。これは海外比率が3割を超すサントリーHDとキリンHDが為替の影響などで海外売上の減少により、連結売上まで減少したためだ(表2参照)。
一方、営業利益を見ると黒字転換1社を含め全社が増益と過去に例のないような好決算となった。全社合計の営業黒字額は7224億円で前年比19・1%増。3月期メーカーの中間決算でも円高で見かけの売上は微減となったが、原燃料費のコストダウンなどにより営業利益は好調で、対売上営業利益率は初めて5%を超えた。12月期はビールメーカーの比率が高いが、同様な傾向を示している。
なお、17年12月期の売上予想は1社を除き増収。比較可能なメーカーの前年比は2・4%増となる。
各社の状況をみていく。サントリーHDは為替などの影響で減収となったが、営業利益、経常利益は過去最高を更新した。海外売上は為替などの影響を除くと前年並み。ビールはプレミアム市場の活性化、「金麦」ブランドが好調だったが、熊本工場の操業停止の影響もあって、ビール類は3%減。RTDやワインなどが好調だったが、酒類売上高は9887億円で3・6%減(海外含む)。
キリンホールディングスは国内ビール類の販売数量減少、キリンビバレッジで第2四半期から販売促進費の一部を売上高控除とした影響に加え、海外綜合飲料事業における為替の影響により、減収となった。しかし連結営業利益は、キリンビバレッジでの大幅増益およびグループ各社で収益性改善の取り組みが進展したことなどにより増益。
アサヒホールディングスは増収増益。酒類事業はビール類の販売数量が増加したことや、ビール類以外の酒類とアルコールテイスト清涼飲料の売上がそれぞれ前年を上回った。飲料事業も炭酸飲料やコーヒー飲料が前年を上回った。食品事業は統合シナジーの創出に取り組んだ結果、主力ブランドを中心に好調に推移し、売上は前年並みながら営業利益は63%増加した。
サッポロHDはビール類の売上数量が前期並みとなったが、ワインやスピリッツ類において高付加価値の商品に注力し増収。
コカ・コーラボトラーのイーストとウエストの2社は新製品が好調だったことで増収、付加価値戦略が奏功し営業利益は大幅増。なお、両社は4月に経営統合する。
山崎製パンは食パン、菓子パン、和菓子など各部門とも好調。商品集中戦略もあって増収減益。売上は今期も1兆円を超え、過去最高。キユーピーも売上高微増過去最高。新商品の絞り込みや基幹商品のリニューアル、既存商品の育成などが効果を上げ、営業利益は大きく増加した。