4月期麦価格改定 5銘柄平均4.6%引き上げ
◎ハード系 4期ぶりプラス ソフト系 4期連続の下げ
農林水産省はこのほど、2017年4月期の政府売渡麦価(輸入小麦の政府売渡価格)を5銘柄平均で4・6%引上げ、t当たり5万690円とすることを決めた。ハード・セミハード系では9・2%引上げの5万2710円、ソフト系で5・2%引き下げの4万6390円となる。ハード系小麦の一部銘柄の品質が悪く、良質品の価格が上昇したほか、為替が円安に推移、燃料油価格の上昇等で海上運賃が上昇したことによるもの。
【解説】2015年10月期、2016年4月期・10月期と3期連続の引下げから脱し、4期ぶりの引上げ改定となった形だが、ハード・ソフト別に見ると状況は大きく異なっている。ハード・セミハード系(DNs、1CW、HRW)の平均は9・2%引上げと4期ぶりの引上げなのに対し、ソフト系(AsW、WW)は5・2%引下げと4期連続の引下げとなった。製粉各社は、今回の麦価改定を受け、6月下旬頃に小麦粉価格の改定を実施することなる見込みだが、ハード・ソフト系それぞれが価格改定作業には課題を抱える形になりそうだ。
輸入小麦の政府売渡価格算定の際、要素となるのは大きく分けて国際小麦相場、フレート(海上運賃)、為替の3つとなる。今回の算定期間(2016年9月上旬~2017年3月上旬)におけるシカゴ相場は、潤沢な在庫・供給量があることから全体的には軟調に推移し、これだけを見れば、政府売渡価格算定では下げ要素となる状況だった。ただ、ハード系の代表銘柄であるカナダ産1CWは、品質が悪く、良質品の価格が上昇するなど、ハード系小麦のミネアポリス相場は算定期間を通して上昇し、前期算定期間平均5・2ドル/ブッシェルから、今期算定期間は5・4ドル/ブッシェルと、3・8%上昇している。
ソフト系のシカゴ相場は、前期算定期間平均4.5ドル/ブッシェルが、今期では4・1ドル/ブッシェルと8・9%低下している。
もう一つの要素であるフレートは、前期算定期間平均の35ドル/tから、今4月期では39ドル/tと11・4%上昇している。主に、原油相場の変動で燃料油価格が上昇したことによるものとされる。為替相場は、前期算定期間平均は108円/ドルだったが、2016年10月以降は円安で推移し、今期算定期間平均では111円/ドルと、率から言えば2・8%円安に振れている。
なお農林水産省は、今回の改定が消費者物価指数に与える影響を+0・003%程度と試算し、「消費生活に与える影響は限定的」としている。ちなみに、小麦製品への影響額試算では、△食パン1斤+1・0円(2017年1月の総務省「小売物価統計調査(東京都区部)」は1斤173円)、△即席麺1食+0・1円(同152円)、△中華そば(外食)+0・5円(同571円)としている。