日本酒造組合中央会が通常総会、租税特別措置法第87条の恒久化求める
日本酒造組合中央会は8日、港区・明治記念館で第64回通常総会を行なった。総会に先立って行われた評議員会では、山野久幸評議員(大阪府・片野桜)が議長で評議委員会が進められ、議案として平成28年度の事業報告と決算報告書がなされた。
事業報告では昨年4月に発生した熊本地震や12月に発生した糸魚川大火で被災した蔵元に対する見舞金や会費の減免、東日本大震災で発生した東京電力福島第一原子力発電所事故への対応状況が報告された。決算報告では同組合移転にかかる費用についての説明がなされた。
その後行われた総会では同組合の篠原成行会長が挨拶を行なった。以下、会長挨拶の要旨。【税制改正】平成29年度税制改正において、酒税の抜本的な見直しがなされることとなった。我々が長年に渡り要望を続けていた同じ醸造酒間における清酒と果実酒の税率格差も見直された。清酒は、平成32年10月に現行の1klあたり12万円から11万円に、第2段階として平成35年10月に1klあたり10万円に一本化されることとなった。
今回の改正では酒税の中長期的な方向性を明確に示すものであり、組合員にはこれを契機に、より一層の経営基盤の確立に繋げていただければと考えている。
さらに、インバウンド対策として10月1日から訪日外国人旅行者向けに製造所で販売した酒類にかかる酒税の免税制度が導入されることとなり、各地の蔵元においても積極的な申請・活用をお願いしたい。
一方で今年度末には租税特別措置法第87条の適用期限が到来する。一部に明るい兆しが見えて来たものの、中小零細企業を抱える私共の要望として、同法案の恒久化などを求める総会決議を行いたいと考えている。業界一丸となって我々の願いを叶えていくためにも、各地においても要望方のご協力を願いたい。
【需要振興】政府には、クールジャパン戦略
の一環として國酒をはじめとした日本産酒類の輸出振興を支援いただいており、関係府省庁が参画する「日本産酒類の輸出促進連絡会議」においては、「日本産酒類の輸入促進に向けた課題と対応方針」が今年3月に改訂され、引き続き、日本産酒類の輸出促進に取り組んでいただいているところ。その結果、日本酒の輸出については、平成28年は1万9,700kl、155億円強と前年同期を1割程度上回る増加を続けている。私共は日本の誇る麹文化である「國酒」の生産者として感謝している。
卸売酒販組合などと連携した「日本酒輸出協議会」において、「日本酒の輸出基本戦略」のフォローアップを行い、その実現にむけて官民一体となり連携して日本酒の輸出促進に取り組みを推進していくように努める。また、本格焼酎・泡盛についても、当組合として「本格焼酎・泡盛の輸出基本戦略」を策定し、それに沿って効果的な輸出振興事業を推進している。
その一環として、今月下旬にフランス・ボルドーで開催されるヴィネクスポへ、業界団体として初めて参加し「國酒」を積極的に世界中の人々へPRすることとしている。
さらには、平成31年のラグビーワールドカップ日本大会や平成32年の東京オリンピック・パラリンピックなど各種の世界大会的な行事を捉えて、國酒のPRを積極的に行いたいと考えている。今後、全国各地域において、各国の合宿などが行われるので、これらを絶好の機会と捉え、各地でもそれぞれの館までPRしていただければと思う。