「グースアイランド」の販売を積極化、ブルワーが来日―アンハイザー・ブッシュ・インベブ・ジャパン
12月1日にはY.Y.G.Brewery(東京都渋谷区代々木)でテイスティングセッションを行った。グースアイランドは1988年に米国イリノイ州・シカゴでジョン・ホール氏によって創業された。創業者のジョン・ホール氏は、サラリーマンだったが、ヨーロッパに出張した際に飲んだ英国やベルギーのビールにインスパイアされて、醸造所を立ち上げたという。
87年のブルックリン・ブルワリー、88年のローグ・エールに並ぶ、米国クラフトビール業界のパイオニア。アメリカ中西部最大のクラフトビール醸造所に成長した。グレート・アメリカン・ビア・フェスティバルやワールド・ビア・カップなどで計40メダルを受賞している。2016年から積極的に海外展開を進め、インベブ・ジャパンでも2016年6月から取扱いを開始した。当初はブリューパブから出発し、1995年には、生産能力を上げるため、シカゴ市西部に醸造所を設立した。現在、シカゴを拠点に、全米50州と海外で販売する。上海、ソウル、サンパウロ、メキシコシティにブリューパブを持ち、もうすぐメルボルンも立ち上げる。「海外への輸出ではなく、現地にブリューパブを造るのは地域のコミュニティーになるべきだとの創業者の考えによる。地元の方とのコミュニケーションを通じて、ファンを増やしていく。声を聞いて細かなニーズに対応したり商品開発にも活かせる」(ケネディ氏)。
グースアイランドの特徴としては、アイダホ州の自社農場で50種類以上のホップを調達している。また、ホップ農場でビアパーティなどを開くなどのコミュニケーションも行っている。次にバレルエイジングを初めて開始したことだ。1992年にジムビームから調達した6つの樽で貯蔵を始め、バーボンだけでなく、ワインの樽でも貯蔵している。
2014年には、12万平方メートルのバレルウェアハウスをオープンし、10万樽のビールが眠っているという。また、ビールとのフードペアリングを、高級レストランで初めて提案したことでも知られる。
日本の業務店へのアドバイスとして「日本のクラフト市場はこれから伸びていく。IPA だけでなく、ウィートエールやサワーエールなど、幅広いポートフォリオで提供するのが重要だ。そこでプレミアム化も図ることができる」(ウィリス氏)と強調した。
その後、テイスティングを行った。
▽「312アーバンウィートエール」=アルコール4.2%、IBU18。312とはシカゴの市外局番。オバマ前大統領のお気に入りで、2010年のG20では各国首脳にプレゼントした。グースアイランドが毎年開催する野外コンサートのメインビール。飲みやすく女性にも人気。
▽グース ホンカーズエール=アルコール4.3%、IBU30。創業者が完成させた、ブランドの原点といえるビール。フルーティーなホップのアロマと、モルトの苦味。
▽グース アイピーエー=アルコール5.9%。米国で一番伸びているIPA。ホップの香りと後味がしっかりしているが、飲みやすい。フルーティーな香り、ドライモルトの味わい、しっかりしたホップの後味。
▽ソフィー=アルコール6.5%、IBU20。創業者の孫娘の名前、オレンジピールを多く使い、ワイン樽で熟成。スパイシーさとシトラスの酸味、ライトでグリーミーな後味。
▽マチルダ=アルコール7.0%、IBU26。夫人が創設した修道院からイーストを受け継ぎ、醸造しているペールエール。野生酵母のスパイシーさ。
▽サワーエール=アルコール8.7%、IBU32。フレッシュなラズベリーと野生酵母を使用し、バレルエイジしたペールエール。
〈酒類飲料日報2017年12月6日付より〉