2017年のビール4社の出荷、前年比2.4%減、初の4億c/s割れ

酒類飲料日報 2018年1月9日付
本紙が推定した1~12月のビール4社のビール類販売数量は、前年比97.6%の3億9,968万c/s(大瓶20本換算)となった。13年連続の前年割れで、平成に入ってからは初めて4億c/sを割った。上期(1~6月)までは98.8%だったが、下期は6月施行の改正酒税法の影響と、夏場の天候不順、秋の台風などで盛り上がりを欠いたままで推移した。「最盛期の落ち込みは冬だけでは取り戻せない」(メーカー)と苦しい着地となった。

11月は99.0%と少し地合いを取り戻したが、12月は97.1%と息切れした。12月は上旬が営業日が1日少なく85.7%、中旬が1日多くて111.3%、下旬が96.4%だった。天候的には北海道・東北を中心に大雪が降ったが「雪国はドカ雪には慣れており、需要に影響が出るほどではないのでは」との見方が聞かれた。むしろ東日本の好天は好材料となった。

樽生は12月が99.0%、1~12月が97.9%。年間で総市場を若干上回っており、12月も微減にとどめていることから「足元の景気が良いことを先取りしており、年初は期待できる」との見方もある。

下旬は96.4%にとどまっており、例年、年末最後にみられるメーカーによる政策的な在庫政策は、全体的に控えられたもようだ。1月は23日に「キリン のどごし STRONG」が、1月30日に「サッポロ 極ZERO 爽快ゼロ」が発売され、2月6日には「サントリー 頂〈いただき〉」のリニューアル発売があり、新年は新ジャンルで火蓋が切られることになる。

〈年始式でのビール4社トップあいさつ〉
年始式でのビール4社のトップあいさつは次の通り(要旨)。

【アサヒグループホールディング・小路明善社長】▽ゼロベースで物事を考え、新しい価値を生み出そう。これまでの経験則が通じない環境の中にいる。本年、私たちもゼロベース・バジェットを本格的に取り入れるが、前例を自らつくるという気概をもって挑戦してほしい。▽価値を提供する会社となろう。世の中の変化を常にみながら、小さな変化を見逃さずにイノベーションを生み出し、新しい価値を提供していこう。▽企業としての存在価値を高め、事業を通じて社会に貢献していこう。

【アサヒビール・平野伸一社長】▽イノベーションを推進し、新しい価値を提供していく。研究優位性、技術優位性、そして営業力による価値提案で、新たな需要の創出を行い、酒類業界を活性化していくという気概を持って取り組もう。▽失敗を恐れずに、常に挑戦する気持ちを持って欲しい。▽全員で知の共有をすすめよう。日々の活動の中で変化への対応を積み重ねていくことが大切だ。それを組織で共有することで、個人から個人へと知が共有され、新しい価値を生み出すことにつながる。

【キリンホールディングス・磯崎功典社長】▽キリンビールは「ビールカテゴリーの魅力化」に中長期的に取り組む。活動の柱は「一番搾り」と「クラフトビール」だ。また、新ジャンルの立て直しも急務だ。好調なRTD やノンアルコールカテゴリーも強化を続ける。▽キリンビバレッジは、“利益ある成長”の実現に向けて、非常に良い流れをつかんでいる。さらに収益力を高めるために、強固なブランド体系の構築に、引き続き取り組む。▽メルシャンは、ワインの魅力をもっとお客様に伝えることに、果敢にチャレンジする。「シャトー・メルシャン」は、最優先でブランドを強化する。

【サントリーホールディングス・新浪剛史社長】デジタルエコノミーが経済活動に及ぼす劇的な変化を捉え、時代をリードする挑戦者となろう。

【サッポロホールディングス・尾賀真城社長】昨年スタートさせたグループ長期経営ビジョン「SPEED150」を推進し、世界に広がる「酒・食・飲」で、個性かがやくブランドカンパニーを目指す。さらにスピードを上げて、サッポログループの経営変革に取り組む。

【サッポロビール・髙島英也社長】「続・ビール強化」を方針に掲げ、一層のビールカテゴリーの強化を継続するとともに総合酒類においてお客様接点の拡大を図り、ブランド価値向上に努める。

〈酒類飲料日報 2018年1月9日付より〉