純米吟醸酒の出荷量、初めて本醸造酒を上回る/17年の日本酒動向

2017年1~12月の清酒課税移出数量
日本酒造組合中央会が発表した2017年1~12月の全国の清酒課税移出数量は52万7,561klとなり、前年比1.7%減で着地した。12月単月では1.4%減で2カ月連続の減少。2017年の生産量の合計だが、最も多い都道府県は引き続き兵庫県(140,298kl)、次いで京都府(98,558kl)、新潟県(42,637kl)の順位は変わりないものの、4位には埼玉県(21,253kl)、5位には千葉県(20,925kl)が新たにトップ5に滑り込んだ。昨年まで4位だった秋田県は6位に後退。

〈吟醸酒動向=7年連続の増加 山形は県一丸のPR奏功で18.1%増〉
1~12月の累計をタイプ別に見ていくと、吟醸酒が6万9,685klで4.9%増、そのうち純米吟醸酒は4万5,291klとなり、7.9%の増加となった。吟醸酒は2011年以来7年連続の増加となっており、市場の動向を見る限り増加傾向は続くと考えられる。

生産量の多い都道府県は上から順に新潟県(1万4,197kl)、山口県(5,409kl)、兵庫県( 5,229kl)、秋田県( 4,145kl)、京都府(4,063kl)の順。吟醸酒に含まれる純米吟醸酒では新潟県( 7,162kl) の1位と山口県(5,303kl)の2位は吟醸酒全体の順位と変わらずだが、3位に京都府(2,816kl)がランクイン。そして4位には山形県(2,455kl)、5位に秋田県(2,337kl)の東北日本海側の2県がランクイン。特に山形県は18.1%増。地理的表示の指定など県一丸となったブランディングやプロモーションが功を奏したと見られる。

〈純米酒動向=7年連続増 改正酒税法の影響か、6~9月単月はマイナス〉
純米酒は6万7,058klで2.6%増。こちらも2011年以来7年連続の増加で着地。累計でマイナスとなる月は無かったが、2017年6月から施行された改正酒税法の影響からか、6~9月の4か月間は単月でのマイナスが続いた。生産量の多い県は上から順に兵庫県(1万523kl)、京都府(6,752kl)、新潟県(4,294kl)と3位までは総合計と同じ順位だが、4位には石川県(3,523kl)5位には宮城県(3,428kl)がランクイン。

〈本醸造酒動向=減少傾向を継続、初めて純米吟醸酒を下回る〉
本醸造酒は今年も減少傾向から抜け出せず4万2,736klで6.9%減。2017年は単月でプラスとなった月は幾つかあったものの、累計では一度もプラスにならず減少で着地。数量は2016年まで純米吟醸酒に3,937klの差をつけて上回っていたものの、2017年は2,555kl下回る結果となった。これは級別制度が廃止され、特定名称制度が始まって以来初となる。

県別の順位は1位が新潟県(9,970kl)、2位が兵庫(6,584kl)、3位が宮城県(2,931kl)、4位が京都府( 2,148kl)、5位が山形県(1,570kl)。なお、プラスとなったのはこのうち京都府(4.0%増)のみで、全都道府県で見ても宮崎県、沖縄県、和歌山県、千葉県、京都府の5県のみがプラス。

〈普通酒動向=減少傾向を継続も昨年より減少幅は縮小〉
普通酒は34万8,082klで3.1%減。こちらも本醸造酒と同様に減少傾向から抜け出せないものの、清酒の中では最大の数量であることは変わらず、全体に占める割合は66.0%(2016年は66.9%)。また、2017年6月の改正酒税法施行では最も影響を受けたタイプの清酒でありながら、昨年よりも減少幅は小さくなっている。

出荷数量の順位は〈1〉兵庫県(11万7,963kl)、〈2〉京都府(8万5,596kl)、〈3〉千葉県(1万9,258kl)、〈4〉埼玉県(1万8,204kl)、〈5〉新潟県(1万4,175kl)の順で、千葉県が13.5%増の2ケタ増。埼玉県も0.8%増と微増で着地した。

〈酒類飲料日報 2018年2月7日付より〉

特定名称の清酒の表示(国税庁)

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