本格焼酎鑑評会表彰式を開催、20製造場に総裁賞―鹿児島県酒造組合
濱田雄一郎会長(濱田酒造社長)は式辞で、「平成28酒造年度の鹿児島県本格焼酎の製成数量は前年対比98%、出荷量は96%といずれも減少している。業界内の競争はますます激しさを増している中で、目先の利益だけを求めて価格競争に走るのではなく、良質で安全な本格焼酎の提供とともに、連続式蒸溜焼酎の消費数量が多い首都圏以北での需要開発および県内での更なる需要拡大に取り組まなければならない」と語った。
取り組みについて、「鹿児島県では平成26年1月から“焼酎文化でおもてなし県民条例”が制定され、焼酎産業および関連産業それぞれの役割の中で、本格焼酎の需要拡大に取り組んでもらっている。昨年の本格焼酎の日は11月1日から3日間、天文館に焼酎ストリートを設け、薩摩焼酎、奄美黒糖焼酎の代表銘柄を県内外の人に飲んでもらった。2年連続で実施したが、前年度を大きく上回る来場者があり、反響も大きく“焼酎王国鹿児島”を大いにPR できた。将来的にはドイツ・ミュンヘンのオクトーバーフェストのように、鹿児島県産本格焼酎が堪能できるイベントとしての定着を目指したい」と意気込みを述べた。
その上で、「今年は明治維新150周年の大きな節目にあたるとともに、NHK 大河ドラマ“西郷どん”もスタートした。また、奄美群島の世界自然遺産登録も期待されている。この機会をとらえ、鹿児島県産本格焼酎のPR に業界一丸となって努めていきたい」と力強く語った。
三反園訓鹿児島県知事
〈県庁1階を焼酎で埋め、ソムリエを養成〉
総裁あいさつで三反園訓鹿児島県知事は、「昨年はこの場で檄を飛ばしたが、残念ながら販売量は減少している。私自身にも責任があると重く受け止め、県としても創意工夫しながら焼酎を広めてく努力が必要と思った。努力は嘘をつかない。皆さんが原料、製法を工夫した鹿児島の焼酎は素晴らしいものばかりだ。113の蔵元、2,000銘柄があるのは鹿児島のみで、この焼酎王国の底力をもっと見せたい。和牛の方は宮崎から奪還し、日本一になった。素晴らしい焼酎を日本だけでなく、世界の人々に飲んでもらえるよう、皆さんと心を一つにして私自身も努力していきたい。
もっとアイデアを絞って工夫しながら、飲んでもらうための努力をしてほしい。キーワードは一緒だ。本日発表するが、県庁の1階を焼酎の瓶で埋めようと思っている。そのための予算も計上した。また、海外を目指して、焼酎ソムリエを養成することに力を入れていく。焼酎は様々な飲み方ができる。ソムリエがその人に合った飲み方を奨められるような焼酎バーをフランスにつくる。総裁として、知事として頑張っていく。宮崎に想いは負けていない。焼酎王国の鹿児島の底力を見せて、日本一を目指して頑張っていこう」と呼びかけた。
賞状授与では、総裁賞受賞の20製造場で原料別に最も審査点が高かった南洲酒造(甘藷)、徳田酒造(黒糖)、祁答院酒造(穀類)の3製造場の代表社員が三反園総裁より受け取った。また、表彰状授与では、杜氏代表として若松酒造の樋之口大作杜氏が濱田会長より受け取った。
受賞者あいさつで南洲酒造の小川俊寛代表社員は、「“西郷どん”の放映で取り上げられている偉人が愛飲したであろう本格焼酎の文化と伝統を守りながら、全国に安心・安全で美味しい焼酎を提供し需要拡大につなげたい」と述べた。
〈酒類飲料日報 2018年2月14日付より〉