カリフォルニアワイン「ベリンジャー」テイスティングセミナー開催/サッポロ
〈禁酒法の時代もワイン造りを継続〉
ベリンジャー氏=当社は1876年に私の先祖であるジェイコブ・ベリンジャーとその兄であるフレデリック・ベリンジャーが創業。ジェイコブはドイツ系移民だが、ドイツではワイン造りに携わり、自身で樽を作る技術も持ち合わせていた。ベリンジャー兄弟は移動した当初は東海岸にいたものの、弟のジェイコブが西海岸へ移動。カリフォリニアに到着し、ナパヴァレーを訪れた際に「ワールドクラスのワインが作れる」と確信し、東海岸にいた兄のフレデリックに資金的な協力を依頼。フレデリックもナパヴァレーを訪れ、現地を確認したが、自分たちのルーツであるドイツの故郷にそっくりなことから自身もナパヴァレーに移り住みワイン造りを始めることを決意。
カリフォルニアの現役ワイナリーでは最古のワイナリーで、禁酒法の時代にも政府からワイン造りを許可されており、142年間途絶えることなくワイン造りを行っている。
また、1934年には一般向けのワイナリーツアーを開始。ナパヴァレーが観光地となるきっかけを作ったことなど、今では当たり前だが当時としては革新的な取り組みも積極的に行ってきた。
受賞歴としてはワイン&スピリッツ誌で12回「ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した他、ワインスペクテイター誌が選ぶ世界一のワイン「ワイン・オブ・ザ・イヤー」でも当社のフラッグシップ商品「ベリンジャー・プライベート・リザーブ・カベルネ・ソーヴィニョン」「同シャルドネ」が受賞している。
左から「ベリンジャー パソ・ロブレス・ウェイメーカー・レッドワイン」、「同ソノマ・コースト・ピノ・ノワール」、「同ナパ・ヴァレー・ルミナス・オーク・ノール・シャルドネ」、「同ファウンダース・エステート・ジンファンデル」
〈新商品4品を解説〉
ベリンジャー氏=まず、「ベリンジャー パソ・ロブレス・ウェイメーカー・レッドワイン」(750ml/5,200円、Alc.14.5%、写真左端)は、様々なぶどうをブレンドしているが、その比率は年によって異なる。「その年の最高のワインを仕上げる」という考えの元造られているので商品名は「レッドワイン」としている。風味の特徴はブラックベリーなどの黒いフルーツにプラムの様な香りのニュアンス、味わいとしてはタンニンの品質も良く、エレガントなスタイルにまとまっている。グリルした肉料理などによくマッチする。
「同ソノマ・コースト・ピノ・ノワール」(750ml/5,000円、Alc.14.5%)は冷涼な気候が特徴のソノマ・コースト地区で生産した厳選されたブドウを使用。気を使うワインの1つで、色と味がバランスよく出せるよう醸しの工程を慎重に行ったり、果実の美しさに蓋をしてしまわないよう樽の使用方法にもこだわっている。アロマはストロベリーやカシスと言った赤い果実に加え、ローズペタルの華やかな香りも。タンニンはやわらかな味わいで、フィニッシュもクリーン。料理と合わせるならアヒルやサーモンがオススメ。
「同ファウンダース・エステート・ジンファンデル」(750ml/2,000円、Alc.14%)は、ナパヴァレーの「地ぶどう」と言っても良いと思う「ジンファンデル種」をメインに使用したワイン。昨今ナパヴァレーではカベルネ・ソーヴィニョンやシャルドネの生産が多くなっており、素晴らしいジンファンデルの畑を見つけるのが難しくなってきた。
そんな中でソノマなどの産地からあまり知名度は高くない産地まで選りすぐりのぶどうを使用してワイン造りを行っている。風味は赤い果実の豊かな香りと、ブラックペッパーやクローブといったスパイスの香りが特徴的。カベルネ・ソーヴィニョンを使用したワインに比べると幾分やわらかな骨格を持ったワインで、熟成を待たずとも美味しく楽しめる。食前酒やアペリティフ、普通であれば白ワインと合わすかな、と思うようなものでもマッチするので是非試してもらいたい。
今回新しく発売する中では唯一の白ワインである「同ナパ・ヴァレー・ルミナス・オーク・ノール・シャルドネ」(750ml/6,500円、Alc.14.5%)はAVA オーク・ノール内の自社ビッグ・ランチ・ヴィンヤードから収穫した単一畑のシャルドネのみで造っている。柑橘類の果実味溢れるニュアンスと湿った石のようなミネラル感が特徴。美しいブドウの味わいより良く表現したいということもあり、樽のニュアンスは控えめ。多くの食事とマッチするスタイルに仕上げている。
〈「プライベート・リザーブ」は時代を遡る〉
「プライベート・リザーブ カベルネ・ソーヴィニョン」のヴィンテージ違いのテイスティングでは各ヴィンテージの特徴や熟成による味の変化を解説。通常古いものからテイスティングするが、今回は新しい2012年ヴィンテージから行われた。
ベリンジャー氏=同商品は標高の高い土地で育った凝縮感たっぷりのぶどうと、タンニンをまろやかにするため比較的標高が低い土地で育ったぶどうをブレンドして使用している。7つの畑があるがいずれも素晴らしい畑でそのぶどうを用いてワイン造りができるのは光栄である。
2012年は5年間の熟成を経ることで熟成香が感じられるようになり、タンニンもやわらかくなっている。赤色と黒色どちらの果実のニュアンスも感じられる。もう少し熟成させた方が楽しめるかもしれない。
2007年は果実の若々しさが熟成して変化し、アニスやグリーンティーの様な雰囲気を醸し出している。タンニンはやわらかくなっているが、その存在感はしっかりと感じられる。
1996年は今なおプラムの様なニュアンスが感じられる一方、これまでのものよりも複雑な香りとなり、たばこの様な香りも感じられる。22年前のワインだが、しっかりとぶどうのポテンシャルを感じられる。
1990年は果実味が静かに眠っており、その代りレザーやサンダルウッドの様な熟成香が際立つ。色は煉瓦色でタンニンも非常に柔らか。もっと熟成させても崩れないはず。
〈酒類飲料日報 2018年3月22日付より〉
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