「平成30年 酒のしおり」を公表―国税庁
国内の市場環境について、平成20年(2008年)に1億2,808万人であった人口が減少過程に入っており、その構成においても、成人人口に占める60歳以上の割合が、平成元年度の23.2%から平成28年度には37.6%へ増加するなど、人口減社会の到来、高齢化が進展している。
飲酒経験のあるものは、男女ともに30歳代から大幅に増加し、70歳以上では減少する傾向があるので、人口構成の変化が酒類の消費に与える影響は大きいものと考えられる。
このような環境の変化を背景に、酒類の販売(消費)数量は平成8年度(1996年)の966万klをピークとして減少している。
また、成人1人当たりの酒類消費数量について、平成元年以降は、平成4年度の101.8Lをピークとして減少傾向にあり、平成28年度には80.9Lとピーク時のおよそ8割に減少している。この間、成人人口は増加傾向であったことを踏まえると、飲酒習慣のある者においても、その飲酒量は減少していると考えられる。
続いて、各酒類の販売(消費)数量構成比の推移をみると、平成10年度以降、その構成が大きく変化していることが分かる。
一般酒類小売業免許場数は、平成19年度までは増加していたが、近年は減少傾向にある。
〈課税額のうち45%をビール占める〉
日本の租税収入における酒税収入割合は、明治35年度にはおよそ3割強を占めており、日本が近代国家として発展する過程で重要な役割を果たした。
戦後においても、長らく租税収入の1割超を担っていたが、経済発展により法人税や所得税の収入が増加したため、その割合は低下しているものの、平成28年度の税収は1.32兆円となっており、安定した租税収入として引き続き重要な役割を果たしている。
近年の酒類の課税数量と課税額の推移をみると、課税数量は平成11年度の1,017万kl、課税額は平成6年度の2.12兆円をそれぞれピークに、平成28年度には877万kl、1.32兆円といずれも減少している。
次に、平成28年度における酒税の課税実績をみると、全課税数量のおよそ3割がビール(271万kl)であり、発泡酒(73万kl)、チューハイや新ジャンル飲料が大部分を占めるリキュール(219万kl)、その他の醸造酒(50万kl)を合わせると、これら低アルコール飲料でおよそ7割を占める。また、酒税の課税額ではおよそ5割(45.1%)がビール(5,948億円)によるものとなっている。
〈酒類飲料日報 2018年3月29日付より〉
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