サントリー〈天然水のビール工場〉京都ブルワリーをリニューアル(1)
サントリーホールディングスは3日、昨年12月1日から行っていたリニューアルを終え、5日から見学を再開する京都府長岡京市の「サントリー〈天然水のビール工場〉京都ブルワリー」のプレス内覧会を開催した。リニューアルしたのは、エントランス、シアターホール、見学通路、試飲会場の4カ所で、「“ザ・プレミアム・モルツ”の最高品質と醸造家の情熱とこだわり」を伝えることが目的。同工場の昨年の年間来場者は9万4,000人で、そのうち外国人は、韓国、台湾、中国、香港などアジア圏を中心に4,600人が来場した。今年はリニューアルのため3カ月間休業していたこともあり、8万4,000人の来場を予定している。
川崎真吾工場長は京都ブルワリーについて、「西の主力の工場で、特徴は天然水だけで仕込んでいる。ビールの9割は水でできているので、将来の水も大切にしようと、水源涵養活動にも参加している。当工場は1969年4月に操業し、来年50周年を迎える。甲子園3個分の広さで、通年商品はほぼすべて製造し、リターナブル瓶製品はここでのみ製造している。ビール造りの哲学は“自然の恵みを人から引き出す”だ。麦芽やホップは年によって品質がバラつき、酵母も生き物のため常に同じ条件ではない。大型設備を扱う技術も必要になってくる。自然の恵みと近代的な設備をうまく結びつけて製造していくが、それを繋げるは人である。経験を積んだ熟練の醸造家により、安定して造ることができる」と述べた。
また、「昨年9月に工場長に就任した。酒類におけるビールのシェアは減っているが、まずはビールを元気にしたい。造っている人のこだわりを知ってもらい、ファンを増やし、ビールを伸ばしていく」と意気込みを語った。50周年を迎える来年は、竣工月の4月に対外的な行事を開催することを考えているという。
同ビール工場は、「ザ・プレミアム・モルツ」の“プレミアム”の根拠を実感してもらう場所と位置付けており、効率よりもうまさを優先し、醸造家が一切の妥協をせず、手間暇を惜しまないものづくりの情熱をしっかり伝えることが重要としている。
今回リニューアルを行った4カ所のうち、エントランスは、ホールとショップに「ザ・プレミアム・モルツ」のブランドカラーである金と紺を活用。工場オリジナルグラスも販売する。待合スペースには、創業者の鳥井信治郎から続く、「サントリービールの挑戦の歴史」年表を展示している。シアターホールは新設し、醸造家のビール造りの想いを伝える映像を上映する。
見学通路では仕込工程を案内
見学通路は、特にこだわりが詰まった仕込工程を、ものづくりの現場の臨場感とともに案内する。醸造家がこだわりの製法を伝える新たな映像を導入。また、ろ過工程の通路壁面には、醸造家達の姿をグラフィック展示で紹介している。
和の空間を演出した試飲会場
試飲会場は、京都という立地ならではの和の空間を演出した。本物の竹材や和紙モチーフの素材を使用し、テーブルは同工場の水源涵養エリアにある「天然水の森 きょうと西山」から生まれた育林材を用いて新設。試飲の際には京都エリア限定のグラスも用意している。
〈酒類飲料日報 2018年4月5日付より〉
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