クラウドファンディングで「幕末・維新150年の日本酒」プロジェクト/大関
同プロジェクトは、大阪城天守閣が2017年から展開している「幕末・維新150年」キャンペーンの一環としてスタートした。大関が大阪城天守閣に所蔵された資料に目を通す中、西郷隆盛と大久保利通の残した自筆に強く惹きつけられ、2人の人生に想いを寄せるような商品づくりを検討。両者の自筆の漢詩からそれぞれ「人」と「夢」の文字がラベルデザインのモチーフに選ばれた。
大久保利通の自筆の「夢」をデザインした「大吟醸酒“夢”720ml瓶」は、全国新酒鑑評会の出品酒で、特A地区の契約農家で栽培した山田錦のみを使用し、精米歩合35%まで磨いて仕込んだもの。同社は全国新酒鑑評会で2004年から14年連続で金賞を受賞している。
また、西郷隆盛の自筆の「人」をデザインした「純米樽酒“人”720ml瓶」は、吉野杉の樽に詰めて熟成させた純米酒を用いる。吉野杉の樽に詰めて樽廻船で江戸に運ばれ、「灘の下り酒」として幕末・維新の頃に愛飲されていた日本酒を追体験できるお酒を目指した。
クラウドファンディングのリターン内容は、「夢人」2本セット(8,000円税込、早割7,500円)や、同セットとオリジナル檜枡セット(1万円、早割9,500円、超早割9,000円)、「夢人」セット付の「日本酒の日に酒蔵見学と杜氏の語らいを楽しむ」イベント参加コース(1万5,000円)など6コースで、最高支援額の7万5,000円のリターンは、「夢人」2本セット×10セットとなっている。
〈日本一の記録2,000万円超えを目指す〉
同日、大阪市中央区のミライザ大阪城で合同発表会が開催された。
ミライザ大阪城で合同発表会を開催
大関の長部訓子社長は、「当社の歴史は307年目となるが、兵庫県西宮市で酒造りを行ってきた。1711年に創業し、その時の屋号は大坂屋だった。大坂で様々な商いを行い、西宮に移ってから本格的に日本酒造りを始めた。江戸では灘酒が流行し、“下り酒”として重宝されていた。大関も総量の3分の1は江戸へ下り、3分の1は地元で、3分の1は大坂で飲んでもらっていた。大関は兵庫県の酒蔵だが、大坂の人に大変親しんでもらっていた。150年前もこれからも、人と語らうことを大切にしながら、夢を描いて実現するのは人であることを忘れない想いを託したい」と述べた。
マクアケの坊垣佳奈取締役は、「クラウドファンディングを立ち上げ、4年半で3,000件のサポートを行ってきた。日本酒は特に盛り上がり、100蔵以上と一緒に取り組んできた。ユーザーに喜んでもらっている領域だ。日本酒の場合、造った日本酒を返すことがメインとなる。支援金を出してもらうモチベーションは、このお酒を飲んでみたいという需要と、応援したいという需要のセットであることが調査で分かっている。女性にも飲まれはじめ、応援する人も増えている。日本酒の日本一の記録は石川県の農口尚彦杜氏の最後の挑戦を応援するプロジェクトで、支援金は2,000万円を超えた。今回のプロジェクトは、日本酒好きのみならず、歴史、大阪好きからも協力を見込める。大成功となる2,000万円超えを目指したい」と語った。
〈酒類飲料日報 2018年4月27日付より〉
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