国産醸造アルコールでプレミアム大吟醸商品化/日本生粋地酒生産者協議会
同協議会の越田達夫事務局長はこの取り組みについて、「現状の日本酒市場は純米酒寄りとなっており、本醸造を含めたアルコール添加商品は低迷している。一般的な醸造アルコールは使用原料の生産履歴情報の入手と開示が困難で、米だけで造られた純米酒の方がわかりやすく安心だという風潮もあるが、醸造アルコールの添加は、香りを引き出し、酒質を安定させるといった日本酒の技術革新であることを正しく認識してもらいたい」と強調する。
その上で、「一般的に、醸造アルコールの生産履歴はきちんと説明できない。一般的な醸造アルコールを否定するものではないが、新たなお客の価値観に対応するため、すべて生産履歴開示の可能な国産米だけで醸造アルコールを造ろうと考えた」と振り返る。
また、「最高峰のものを目指そうと協議会で討議した。幸い、醸造アルコールの生産可能な酒蔵が参加しており、試行錯誤の上、約3年の月日をかけて造ってもらった。我々としては、純国産の日本酒として正しく理解され、かつ国内外からもリスペクトされる、そういったマーケットをつくりたい」と意気込みを述べる。
同協議会では、100%純国産の米アルコールと、同米アルコールを使用した生粋地酒プレミアムマイスター大吟醸を、それぞれ同協議会認証認定委員会の厳正な審査をクリアした認証酒として商品化した。男山本店の大吟醸(720ml瓶、税別4,200円)は、マイナス10℃で氷温貯蔵しており、まろやかさが特徴だ。気仙沼市は水産業が有名で、冷凍庫を持っている地元業者とタイアップしたという。皇国晴酒造の大吟醸(720ml、同4,000円)は、貯蔵する樽も純日本産のミズナラ樽を用い、大吟醸本来の爽やかな香りと、森林のようなミズナラ樽の爽やかな香りを融合させた。
〈酒類飲料日報 2018年5月1日付より〉
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