誰でもクラフトビールが造れるブリュワリーが東京・板橋にオープン
誰でもオリジナルのクラフトビールが造れるブリュワリー「東京エールワークス(TOKYOALEWORKS)」が、東京・板橋カスクビレッジ内にオープンした。7月より醸造体験プログラムをスタートさせる。
日本ではホームブリューイングは違法だが、「東京エールワークス」では専門知識を持つテクニカル・スタッフと共に、最小で20リットルからビール造りが体験できる。
江戸四宿のひとつで、江戸の玄関口でもあった板橋に誕生した「板橋カスクビレッジ」は、ウイスキーのテイスティングルームやワインビストロなどお酒にまつわる施設と宿泊施設を併設。カスク(樽)のようにコミュニティに集う人と酒をじっくり熟成させたいというコンセプトを掲げた複合商業施設だ。昨年12月には、カリフォルニアスタイルのブリューパブ「板橋ブリュワーズユニット(Itabashi Brewers UNIT)」を先行オープン。22タップのクラフトビールと、「和食」をコンセプトとする料理を提供する。
そのブリューパブの隣に新たに加わった「東京エールワークス」は、クッキングスクールのようにクリーンな空間に、アメリカ最先端の醸造機器を導入。醗酵の様子をリアルタイムで可視化するなど、データやレシピをシステム管理することで、再現性の高いオリジナルビールを造ることができる。また、ブリュワーにはあえて「ヘッドブリュワー」や「マスターブリュワー」といった肩書は設けず、ビールを造る人々のサポートをするテクニカル・スタッフとして常駐する。
「東京エールワークス」スタッフ(左から2人目=創設者・ジミー山内氏、右から3人目=製造・品質管理をマネジメントするボブ・ストックウェル氏)
〈「クラフトビールの醍醐味を伝え、飲み手にも創る心を持ってほしい」〉
「東京エールワークス」創設者のジミー山内氏は現在、米国・カリフォルニア州南部のサンタ・バーバラ在住。「アメリカには3000以上のクラフトブルワリーがあり、ホームブルーイングも盛んだ。先進国でホームブルーイングが許されていないのは日本とアイスランドだけ。クラフトビールが人気だが、うわべだけのブームではなく、クラフトビールの醍醐味を伝え、飲み手にも創る心を持ってほしいと企画した」と話す。
製造と品質管理のマネジメントを行うのは、「麦の酒」のスペシャリスト ボブ・ストックウェル氏。スコットランドのモルトウイスキー蒸留所4か所、日本でもいくつかのクラフトビール醸造所で働くなど経験・知識ともに豊富だが、「初めてビールを造る人にもおいしいビールを造ってもらえるよう、あくまで製造・品質管理に徹したい」と話す。
ブリュワリー内には最新の醸造機器を揃える
仕込みタンクは、20L4基、60L1基と、小規模なものを揃えた(今後タンクは追加する予定)。カスタムオーダーメイドサービスでは、醸造体験後約1カ月でビールの受け取りが可能。価格は20L醸造プラン(330ml瓶×約48本)で、一本当たりの単価は700円程度。60L醸造プランだと、48L(同約144本)で600円程度。
個人や飲食店のハウスエール以外に「TOKYO ALEWORKS」名義でもオリジナルクラフトビール「307IPA」や、ウイスキー樽シリーズなどを発売予定。
また、「コミュニアル・ブリューイング」第一弾として、プロダクトプロデューサーの丸若裕俊氏が立ち上げた茶葉ブランド「EN TEA」とコラボ。緑茶の「Green Tea IPA」やほうじ茶の「Roasted Green Tea Stout」など、季節に合わせた茶葉を使ったジャパニーズスタイルのクラフトビールを発売する。
〈酒類飲料日報 2018年6月15日付より〉
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