食品市場で夏物好調、記録的猛暑が影響 飲料・アイス・そうめん・チルド麺など

〈欠品や販売中止を余儀なくされる商品も〉
今年の夏物は各分野とも絶好調。一部には欠品や販売中止を余儀なくされる商品もある。6月は比較定天候に恵まれ、6月中の梅雨明け以降、7月は全国的な猛暑となり、夏物の販売は盛り上がっている。7月初旬の西日本豪雨での災害が甚大だったが、猛暑日や最高気温はほぼ全国的に前年および平年を上回った。8月も猛暑が続いている。ビールは業務用が値上げでやや苦戦だが家庭用は堅調、飲料、アイス、麺類は大きく伸ばしている。
2018年6~7月の全国の月間気象データ

〈ビール類には追い風とマイナスの両面、「家飲み」は堅調〉
酷暑が続いているが、ビール類の7月を見る限り、追い風になった面とマイナスになった面と両面あった。ビール4社の出荷の前年比は、上旬が1.0%減、中旬が4.9%減%、下旬が0.2%増、合計2.0%減だったとみられる。樽生が不調で6.0%減。「もちろん冷夏よりはいいが、マイナス面も大きい。あまりに暑いとミネラルウォーターに流れる。ビヤガーデンは通例では2回転するものだが、予約は暑さの収まる夜の8時から、ということになると1回転しかしないことになる。業務用では、よりシズル感のあるハイボールに流れることも大きい」(メーカー)。

一方で「暑いので早く家に帰って飲もう」ということから「家飲み」が堅調だ。各社の基軸ビールブランドの缶容器は好調だ。加えてほとんどが缶容器の新ジャンルは2.1%増。キリン「本麒麟」「のどごしSTRONG」がけん引している。各社、7月下旬は前年を超えてきたことから、酷暑を追い風にお盆まで高いピークをつくる考えだ。

〈清涼飲料は止渇系アイテムが軒並み好調〉
今夏の清涼飲料市場は、記録的な猛暑になったこともあり、茶系飲料や炭酸飲料、ミネラルウォーター、熱中症対策商品を中心とした機能性飲料などの止渇系アイテムが軒並み好調に推移している。7月単月の販売数量は前年同期比5%増となったが、昨年の7月が7%増だったことを踏まえると、非常に拡大していることがわかる。1~7月累計実績は同3%増で推移しており、通年でも伸長が見込まれる。

〈アイスは氷菓系に需要集中、出荷停止も〉
7月のアイス市況は、前年も7%増と好調だったにも関わらず、前年比9~10%増とさらに伸長した。7月は年間販売額の15%を占めるため、この2ケタ近い伸びは相当な販売量といえる。30℃を超えるとよく売れるハード氷は、大手メーカーの多くが撤退したことで「サクレ」「アイスボックス」「パピコ」などに需要が集中、7月下旬~8月頭で在庫が切れ出荷停止になったり、主力フレーバーへ生産集中したり騒動となった。ただこの10年で、各メーカーの主力商品の生産能力や最需要期に対する瞬発力が上がっていることから、氷菓系以外の定番商品は品切れすることなく、8月中旬以降も猛暑が続けばさらなる市場成長が期待できる。

〈家庭用そうめんは大きく伸長、チルド麺・「流水麺」も好調〉
手延そうめんは、ギフトは例年並みとなったが、家庭用は大きく伸長している。「盆前までわからない」としつつも、現時点では注文が殺到している。一部地域では豪雨の影響で物流が滞ったところもあり、輸送方法を変更し、欠品しないよう小出しに商品を供給している。最終着地は数量ベースで5%増を見込むところも。機械製麺の白物は例年並み、そばは6月不調も7月に入ってから好調に転じた。

チルド麺も好調。大手コンビニエンスストア調理めんベンダーによると、7月中旬以降からの売り上げは物量ベース1割増、月間で5%増となり、一昨年対比では1割増となった。量販店向けでは単日対比で5%増、製造・出荷量で史上最高を記録した。受注数の増大に追い付かず、欠品が発生したところもあるとか。具付きセット麺のメーカーも7月は3.3%増、8月に入ると5.1%増と好調に推移。

販売量、販売エリアの拡大が続く「流水麺」(シマダヤ)は4月に新ラインが稼働。100%子会社・シマダヤ関東の八潮工場、シマダヤ西日本兵庫工場に増設した。今期は4月の気温が高かったこともあり好スタートを切った。5~6月はやや落ち込んだが、6月最終週頃から販売が拡大。CMの投入効果もあり、「冷し中華」、「そうめん」が好調。「うどん」、「そば」も前年実績をクリアした。また、「1食」タイプも拡大している。

今夏は「流水麺」のお湯を沸かさなくても食べられるという付加価値がこれまで以上に実感できる猛暑だ。供給体制の整備もあり、今期も過去最高売上の更新が期待される。

〈食品産業新聞 2018年8月13日付より〉