若手だけで作る“友人に届けたい日本酒”「別鶴」、クラウドファンディングで予約開始/白鶴酒造
今回同社が「別鶴」ブランドとして発売するのは、レモングラスのような香りと爽やかな酸味が特長の「木漏れ日のムシメガネ」、柑橘類の果皮の様な香りとほろ苦さが特長の「陽だまりのシュノーケル」、完熟した果実の様な芳醇な香りとまったりした甘味が特長の「黄昏のテレスコープ」の3商品で全て純米酒。
3日には神戸市東灘区の同社本社にて、4日には東京都中央区の東京支社にて商品説明会を実施。西村顕取締役執行役員経営企画室長兼商品開発本部長がプロジェクトの概要を説明したのち、商品開発に直接携わった商品開発本部の佐田尚隆主任が商品の概要を説明した。
商品説明会にて(左=西村顕取締役執行役員、右=佐田尚隆主任)
〈「若手の需要獲得」「自社技術の掘り起し」を条件として設定、口出しは一切せず〉
西村取締役執行役員=日本酒の出荷数量はここ30年右肩下がりで推移。様々な要因が組み合わさってこのような状況となっているが、我々メーカーが有効な情報発信ができていなかったのも一因。そのため若年層では日本酒の味わいが分からない人が多くなり、アルコール飲料の中では日本酒が最も苦戦しているような気がする。
当社は35~6年前に冷蔵庫で冷やして飲む「生貯蔵」の日本酒を業界に先駆けて開発し、夏場の日本酒需要を開拓。最近では「糖質オフ」の日本酒を他社に先駆けて発売するなど時代を先取りしてきたが、ここ数年で主力のパック酒の競争が激化し、そちらに開発のマインドが向いていた。
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〈“若手だけ”で試行錯誤すること2年〉
経営陣としても現状を打破すべく、何か新しい商品の開発に取り掛からなければならない、という課題を抱えている中で、開発担当の佐田氏を中心とした若手だけで商品開発をさせてほしいという声が上がってきた。今までも「若手だけ」「女性だけ」「営業だけ」のプロジェクトチームが立ち上げていたものの、どうしてもトップダウンとなってしまっており「枠」がたくさん入ってしまっていた。しかしながら今回は熱意をもって商品開発の提案をしてくれた彼らの自主性に任せ「枠」を「日本酒と接点が少ない若年層の需要開拓に必ず結びつける」「自社技術の再度掘り起し」という2つに限定。それ以外は自由に開発を推進してもらうこととしたのがちょうど2年ほど前。商品開発経験者はいっさい口出しをせずに若手の力だけで今日を迎えることが出来た。
また、社内的には若手社員の育成も目的としている。今回のプロジェクトメンバーは広報や営業、品質管理の担当なども参加しており、商品開発を通じて若手を育成、ひいては組織の活性化に繋げることが出来ればと考えている。
クラウドファンディングを用いることとなったのは開発資金が捻出できなかったからというわけではなく「若年層の需要の掘り起し」という条件と、製造から流通まで一気通貫で彼らが取り組むという条件に照らし合わせて最適だった為。従来の商品や流通ではコミュニケーションが取れなかった層にコミットし、次のコミュニケーションは何をすればいいのかなど、そういった知見についても獲得していきたい。
今後は今回の取組の結果を踏まえ、同プロジェクトを発展させていくのか、新しいプロジェクトを立ち上げるのか、全く別のスタート地点を設定するのかという事を考えていくつもりだ。
〈約束は「友人に届けたい日本酒を作る」〉
今回お披露目となったプロジェクトを開始させるようになったきっかけは「同じ年代の人たちに飲んでもらいたい。今のままでは良くない」という意見が若手の中でも上がっていたことから始まる。現状を打破すべく、社内の若手に声掛けをしてプロジェクトチームを結成。商品開発に対して特定のスキルがあるものを集めたわけではなく、とにかくやる気だけは負けないという熱意あるメンバーを募った。
結成当初は「業界を盛り上げる」というような目標を掲げたこともあったが、それを実現するためには普段日本酒を飲まない身近な友人に日本酒の良さを知ってもらうべきと考え「友人に届けたい日本酒を作る」という事を約束事として設定し、各メンバーの仲のいい友人にヒアリングを重ね開発を推進。日本酒になじみのない人に対しては「新しいお酒」としての驚きを、日本酒が好きな人に対しては「今までにない日本酒」としての驚きを体験してもらえる日本酒を目標として制作。ビギナー向きに寄り過ぎると日本酒を飲んでもらっていた人からの支持が得られなくなってしまう。そのバランスを取るのが困難な部分であったが、何とか完成にこぎ着けた。
パッケージについては「虫眼鏡」や「シュノーケル」「望遠鏡」を基調としたデザインを採用。同シリーズのコンセプトでもある「新しい日本酒の世界を覗こう」という世界観を表現している。
◆“makuake”内「別鶴」プロジェクトページ=https://www.makuake.com/project/hakutsuru/