出羽桜酒造、三菱ケミカル・クリンスイと日本酒を共同開発 「出羽桜 純米吟醸酒 Cleansui 仕込み(瓶火入)」

左から三菱ケミカル・クリンスイ 木下博之社長、出羽桜酒造 仲野益美社長、日本酒スタイリスト 島田律子氏
出羽桜酒造と浄水器の販売を行う三菱ケミカル・クリンスイ(以下・クリンスイ)は5日、共同で「出羽桜 純米吟醸酒 Cleansui 仕込み(瓶火入)」を開発したことを発表した。

同商品は酒造好適米「出羽燦々」を、クリンスイの超軟水を仕込み水として使用したオリジナルの吟醸酒。「出羽燦々」を約50時間かけて精米した後、山形酵母とクリンスイの超軟水とで醸造することにより、熟した果実のような豊かな香りとエレガントな酸味がある、ドライでキレのある仕上がりとなった。なお、同商品は東京都渋谷区の「MIZUcafé PRODUCED BY Cleansui」にて6日から提供される。

「出羽桜 純米吟醸酒 Cleansui 仕込み(瓶火入)」

「出羽桜 純米吟醸酒 Cleansui 仕込み(瓶火入)」

出羽桜酒造では以前より三菱レイヨン(現:三菱ケミカル・アクアソリューションズ)の三層中空糸膜を使用した脱気装置を採用し、酒造りの重要な工程で活用してきたが、今回クリンスイは同社のグループ会社であるウェルシィの協力のもと、クリンスイの超軟水を仕込み水として供給し同商品を開発。
 
6日から7日まで東京都千代田区の東京国際フォーラムで開催された展示会「クリンスイ 2019発表会」では7日11時から同商品を製造した出羽桜酒造の仲野益美代表取締役社長がイベントスペースにて登壇し、同社が日本酒を製造する上で大切にしていることや日本酒における水の重要性などを説明したのち、三菱ケミカル・クリンスイの木下博之代表取締役社長や、司会として日本酒スタイリストの島田律子氏が登壇し、3者で同商品の開発秘話などについてのトークセッションを展開した。
 
〈「水の可能性を追求」すべく、酒類とコラボレーション/三菱ケミカル・クリンスイ 木下社長〉

――講演でも日本酒における水の大切さについて説かれていましたが、改めてその大切さを
 
仲野社長
=日本酒の成分の80%は水となっており、日本酒を作る上では非常に大切な要素となっている。普段当社は井戸水を殺菌などせずに使っており、130年間「ひねれば出てくる」のでそれが当たり前となっていた。
 
「どこにでもあるものがダントツに素晴らしい」というのが「恵まれている地域」ということを考えると、北海道から沖縄まで全都道府県で作られている今、当社を含め山形県はダントツにおいしい日本酒を造っているという自負がある。そのポイントはやはり水。当社は蛇口をひねれば水が出てくるが、それを当たり前と思わず感謝しなければいけないし、日本酒業界にとって水を様々な面から研究・開発されているクリンスイの役割と期待は大きいものだ。
 
――「良い水」とは何でしょうか
 
木下社長=「良い水」とは、まずは「安全な水」。健康を害さないなどということが前提条件となってくる。日本は蛇口をひねれば「安全な水」が出てくるが、世界には「安全な水」が飲めない国も存在する。その上で日本のように「安全な水」が普通に提供されている社会だと、その水で「何ができるか」ということが重要。例えば料理やお茶、お酒造りなどに向いた機能的で目的に合った水の追及が必要となってくる。
 
――出羽桜酒造とのコラボレーションのきっかけを教えてください

 
木下社長=そんな中コラボレーションを行ったきかっけとしては、当社は元々浄水器のパイオニアだが、“水をきれいにする”ということだけにとどまらず、水の可能性を常に追求し続けている。仲野社長もおっしゃっていたが、日本酒の80%は水。そのため以前より日本酒に着目しており、中でも出羽桜酒造は非常に丁寧な酒造りを心がけている。
 
それに加えて輸出にも力を入れているほか、仲野社長も日本酒の海外の需要開発に多大な貢献をされている。そういったグローバルな活動されている出羽桜酒造とぜひコラボレーションしたいと思い、この度申し出た。
 
仲野社長=日本酒の魅力の1つである多様性を語る上で、酵母や原料米の違いのほかに、最近では米ができる土壌の違いまで見る酒蔵があることを見ると、水の違いもあってもよいのではないかと思う。いろんな水で「出羽桜」を作ることにより、どんな表情が出るのか、はたまた何か新しい発見がありお客様に喜ばれるのでと考えたときに、8割を占める水の違いは非常に重要。三菱レイヨンの時代から脱気装置でお世話になっており、技術力は素晴らしいものと肌で感じている。水に関しても、組んで面白いことをやるならばクリンスイだ、ということでコラボレーションが実現。水の違いによる新たな提案をできる可能性があるのではないかと思ったことや、このコラボレーションを機に、水について勉強させていただけるというのも理由の1つとして挙げられる。
 
〈酒類飲料日報 2019年2月12日付〉